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第1章

No.27

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お昼になる少し前。
何時もは、夜遅くに帰ってくるアルフォンスさんが早くに帰って来た。

「アルフォンスさん、お帰りなさい」
「…ただいま」

アルフォンスさんは、少し照れた様に笑いながら返事をする。その様子にドキッとして慌てて口を開く。

「きょ、今日はお早いんですね!」
「あぁ、部下に今日はもう休めと言われてな」

その言葉にハッとする。

(そうだよ。疲れてるに決まってるじゃん)

アルフォンスさんは、騎士団団長をしてるとリディアさんに聞いていた。つまり、かなり偉い人だ。そんな人が忙しいのは当たり前だ。
それに加えて、私が帰る方法を遅くまで探してくれているのだ。疲れてないわけが無い。

「………すみません」

自身で探す事も出来ない今、どれだけアルフォンスさんに負担を強いているのだろう。そう思うと、申し訳ない気持ちになった。

「君が謝る必要は無い。私が好きでしている事だ」
「でも…」

それ以上、言葉が続かなかった。
どんなに申し訳なく思っても、今アルフォンスさんに帰る方法を調べるのを止めて貰う訳には行かないのだ。

(本当、自分勝手だ…)

自分の事しか考えない己に苛立つ。
そんな私を見て、そばに居たリディアさんが声を出す。

「それなら、今から2人で街に出かけて来たらどうですか?最近、街に有名なお菓子屋が出来たんですよ」

そう言って、リディアさんはアルフォンスさんに視線をやる。

「………そうだな。君さえ良ければ、気分転換に一緒に出かけないか?ずっと屋敷に篭りっきりじゃ退屈だろう?」

(外に出られる!)

アルフォンスさんからの思わぬお誘いに、私はすぐ様頷く。

「もっ、勿論です!」
「そうか。なら、お昼は街で食べよう」
「はい」
「それでは、マコ様。出かける準備をしましょう」

そう言って、リディアさんは私を部屋に連れて行く。

「え?私、このままでも…」
「いけません。女性たる者、男性とデートするなら完璧な姿でないと」
「ででで、デート!?」

耳元で囁かれた言葉に動揺してしまった。

「そうです。異性が2人で出かける事を一般的にデートと言います」
「っ!」

(私とアルフォンスさんがデート!?いやいや、落ち着け私!!そんなんじゃないから!ただ、2人で出かけるだけだから!でも、それってデート…?)

もう混乱して何が何だか分からなくなった。
どうしてこんなにも混乱するのだろう。元いた場所でも、友達の男子と2人で出かけた事はある。
だが、その時でもこんなに混乱しなかった。

(顔?顔なの?イケメンと出かけるのはこんなに混乱するの?)

友達の男子には悪いが、そう思ってしまう。
その友達もカッコいい顔をしていた。だが、アルフォンスさんと比べると月とすっぽんだ。

「準備が出来たら出かけよう。リディア、よろしく頼む」
「任せて下さい」

そう言ってリディアさんは、私を部屋に押し戻す。
それから、気合の入ったリディアさんと他のメイドさん2人に私は本気のコーディネートされた。
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