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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第473話 お仕事のお時間です。 (4)

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”ガヤガヤガヤ”

「ねぇご主人、なんで態々ダウンタウンに来て食事なんです?せっかくテレビ局がいいホテルを用意してくれたんですから、そっちのレストランの方が美味しいものを食べられるんじゃないんですか?」

訝し気に聞いてくるブリジット。
分かってない、お前分ってないよ。高級レストランの食事なんて大和でも食べられるんだよ。せっかくのフロンティアだよ?その空気を満喫しないでどうするのさ。
この喧騒、様々な人種入り乱れる雑多な感じ、まさにフロンティアって感じじゃん。こんなのめったに経験できないじゃん。
皆思い思いに楽しんでるし、誰もちょっかいなんざ掛けないって。俺も何度か海外に行かされてその辺の空気の作り方が身に付いて来たしね。要は俺は俺って顔してればいいのよ、楽しんでるかいブラザーってね。

『おぉ~、ご主人が逞しく成長なさって。このブリ嬉しゅうございます。』

阿呆か、俺がいつブリに育てられたんだよ、お前と出会ってまだ一年も経ってないわ。しかも態々ブリテン言語で話しやがって、揶揄ってるのがまるわかりだっての。
ブリだって実はこんな感じの旅行した事ないんじゃない?いつもは例のおばさんにくっ付いてたんでしょ?

「そうですね~、海外自体は行った事がありますが、基本師匠の世話係でしたね。まさか改造人間にされるとは当時の自分考えてませんでしたから。施設から引き取られて本部付きになった時は、大出世したと鼻高々でしたし。
魔術師協会の闇ってめちゃくちゃ深かったんですよ、すっかり読み違えてしまいまして。」

まぁいずれにしてもこうして自由になれたんなら楽しまないと、何事も体験してみよってね。このモツと豆に煮込みウマウマ、この店大正解。お姉さん、これお代わりくれる~。

『はいよ~、うん?あんたらもしかして大和の人間かい?どうだいうちの煮込みは、この町一番の旨さだろう?』

『はい、凄く美味しいです。』

『ハハハ、大和の人間にそう言われると嬉しいね~。うちの店の煮込みも以前はその辺と変わらない味だったんだけどね、もう二十年近く前になるかね、やっぱりアンタらみたいにフラッと現れた大和人がうちの煮込みを食べて激怒してね。”もつ煮舐めんじゃねえ~”って行き成り厨房に入って行ってこれを作っちまったんだ。”もつ煮の命は下処理だ、それを怠ったもつ煮は食材を馬鹿にしている、客に家畜の餌を食わせる気か!”ってそれはえらい剣幕で。
最初は腹を立てた先代もこの煮込みを食べたら納得するしかないじゃないか、拝み倒して指導して貰ったって訳さ。以来このメニューがウチの看板料理になっちまったのさ。レジ脇に飾ってある写真がその当時の写真だよ。お客さんによく似た風貌だろ?だからお宅も大和人だってすぐに分かったのさ。』

そう言い笑いながら厨房に戻るお姉さん、そんなパワフルな大和人がいたのねと写真を見る。そこには人々の中心で豪快に笑うのっぺり顔の女性が写っていた。
・・・これってマミーじゃん。若かりし頃のマミー異国の地で何やってるのよ。

「ご主人のお母さん、滅茶苦茶アクティブだったんすね~。」

まさか他所の国でもつ煮レシピ教えてるとは思わんやん。異国にて発見せし地元ソールフードは家庭の味。やられた感半端ないです。


「いや~、美味しかったですね~お母さんの煮込み料理。」

やめて、確かに凄く美味しかったけど、悔しいくらいに美味しかったけど。
気分転換に屋台飯でも食べない?そこの公園脇でフィッシュアンドチップス売ってるし。

「お、いいですね。これってブリテン料理でしたっけ?流石にこれにはお母さんも文句は言いませんよ。」

お願い勘弁して。
お姉さん、二人分頂戴~。

『はいよ。揚げたてだから熱いよ、気を付けな。』

どうもありがとう。はむ、もぐもぐ、旨い。これだよこれ。高級料理じゃないんだよ、俺の身体が求めるのはこういったメニューなんだよ。

『確かに美味しいですね。ここのお店って長いんですか?』

『あぁ、これでも地元では評判の屋台だからね。長くやらせてもらってるよ。はいよお嬢さんの分だよ。』

『ありがとうございます。”ガキン、今日こそは逃がさないわよ!”ん?今何か変な声が聞こえませんでしたか?』

それはどうやら公園の方から聞こえてくる様だ。

『あぁ、あれはキャットウーマンさ。町の平和を守るスーパーヒーローって奴さ。この国には犯罪が多いからね、ああしたボランティア精神にあふれる正義の人ってのが頑張ってくれてるのさ。』

ほう、町の自警団みたいな奴ですかね。でも格好はフロンティア映画みたいですね。

『まぁその辺は温かく見守ってあげないと。実際彼女やほかのヒーローのお陰で治安が維持できてる側面もあるんだしね。何と言ってもヒーローは憧れだからね。』

ふ~ん、じゃあ戦ってる相手は誰なんだろう?その辺詳しく教えてくれない?さっきからこちらの財布をしつこく狙ってくるおチビちゃんたち。

『ふにゃ、見つかっちまった。この兄ちゃん何であたしらの事が分かるんだよ。』

『わからないわよ、こんな事初めてなんだから。』

無論タダで教えろとは言いません。お姉さん、フィッシュアンドチップス二人前追加で。

『はいよ~。お客さんなかなかやるね~。』

フフ~ン♪サービスで一つ手品をお見せしましょう。懐より取り出しました一枚の布。これを広げますと、はい!”バサッ“
ご覧の様にイスとテーブルが現れます。ザ・イリュージョン!!

『『『おお~!パチパチパチ』』』

それじゃ、座って食べましょうか。はい二人ともおしぼりで手を拭いて。

『『お兄さん何でも出せるの?凄い!』』

褒めろ褒めろ、食え食え。で、あそこで戦闘してるのは誰なのよ?

『『聞いて驚け、あの御方こそファントム様なのだ~。』』(キリッ)

『おぉ~って外国人のおじちゃんは知らないっての。お姉さん何か知ってる?』

『あぁ、なんでも金持ち専門の盗賊さ。霧のように現れ幻のように消えていく、故にファントム。圧倒的な実力で誰も傷付けずに逃げ果《おお》せるダークヒーローさ。』

ダークヒーローって。なんでもヒーローなんですね。

『そんなもんさ、あたしら庶民は自分たちが傷つかずに楽しめるなら何だっていいのさ。はいよお嬢ちゃん方、熱いから気を付けて食べるんだよ。』

『は~い、いただきま~す。美味し~!』

ほら、急いで食べるとむせちゃうから。お姉さん全員分の飲み物頂戴~。
これ飲んでゆっくり食べな。
あ、でもそろそろ終わりそうだわ。

”ふん!”
”きゃー---っ”

お姉さん、キャットウーマン負けちゃいましたね。

『『ファントムは最強なのだ!』』

おや、おチビちゃんたちはファントムのファンか。まぁ、今のところ見つからなかったみたいだけどその隠形は分かる人間には分るから、十分気を付ける様に。
お姉さんお持ち帰り用の袋貰える?ほらこれに入れてあとは家で食べな。ファントムさんめっちゃこっち見てるよ?

『『やべ、後で怒られる。』』

気を付けて帰るんだよ~。

『お客さん、ファントムたちが見えてるのかい?あたしにはおチビちゃんとファントムが霧のように消えて行った様に見えたんだけどね。』

あぁ、俺そのての術は効かない体質なんで。これでもイリュージョニストですから。
そう言い再び布を広げテーブルを覆う。
はい!”バサッ”
先程まであったテーブルとイスは布と共にどこかへと消えてしまっていた。

公園にはファントムにやられ倒れ伏すキャットウーマン。これ、気当てされたね。
張り扇ボンバー”スパーン”

『は、私はいったい。くそ、またファントムに!』

またファントムにって何回目の敗北だよ。頑張れよスーパーヒーロー。
俺は面倒事はパスとばかりに気配を消してその場を後にする。

『あ~ん、明日は大事な逃走王の大会だってのになんで負けるかな私。気持ちを切り替えて行かないと、今日のパトロールはお仕舞、帰って寝ましょう。』

ブフォ、キャットウーマン鬼役出場者かい!めちゃくちゃだなフロンティア。
無駄にいい耳に聞こえたキャットウーマンの独り言、聞くんじゃなかったと後悔するのっぺりなのでありました。
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