ここをこうやってこう〜オブジェクトのサイズを変更できる魔法はなにかと便利です〜

 物体のサイズを変更できる魔法。
 それはこのルフェーブル王国において、他に類を見ない珍しい魔法だった。
 それゆえ王家に目をつけられたクララは、第三王子ジュールの婚約者に選ばれてしまったのだが。


「美少女が、必ずしも美女に成長するわけではないのだな」

 幼い頃クララに一目惚れしたジュールは、年々冴えなくなっていくクララの容姿に失望していた。


「もう、ジュール様ったら。面と向かってそのようなことをおっしゃっては、さすがにクララさんがお気の毒ですわ」

 婚約者の座を狙って長年画策してきた侯爵令嬢のマルゴは、この日を迎え勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。


「伯爵家の、しかも庶子の分際で王子妃になろうだなんて……ねえ?」
「いきなりの婚約破棄。さぞかし惨めでしょうね」

 周りの者は皆、クララのことを蔑んでいた。


 ・
 ・
 ・


(よっ! 待ってました!)

クララは心の中で歓喜していた。

(婚約破棄?? ありがとうございます!!)


奮闘努力の甲斐あって、ようやく婚約破棄まで漕ぎ着けたクララ。
あとはこのまま逃げるだけ。


さあ、相棒のリュカとゆくクララの自由気ままな逃亡ライフが今、始まる。


 




 


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