「夫が死んだ日、すべて手に入った」―離婚届は、まだ引き出しの中―

「夫が死んだ日、すべて手に入った」―離婚届は、まだ引き出しの中―

夫が死んだ日、
世界はやさしくなった。

泣き方は知っている。
声を震わせて、肩を落として、
「どうして」と呟けばいい。

誰も疑わない。

白い封筒の中には、
未来が詰まっていた。
保険金という名前の救済、
ローンの消えた家、
毎月、静かに振り込まれる安心。

ねえ、あなた。
生きていた頃より、
ずっと役に立っているよ。

引き出しの奥、
薄く折れた紙が一枚。

あなたが差し出した、終わり。
私が出さなかった、終わり。

あの日、署名していたら
私は何も持っていなかった。

だから、ありがとう。

最後まで、
私の“夫”でいてくれて。

今日も私は、
未亡人として微笑む。

うふふ♡

24h.ポイント 795pt
51
小説 1,652 位 / 222,842件 現代文学 23 位 / 9,394件

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