『最後の一行(さいごのいちぎょう)』AI犯罪心理学者 かおるこのプロファイリング

『最後の一行(さいごのいちぎょう)』AI犯罪心理学者 かおるこのプロファイリング

静かな画面の奥で、世界はいつも正しく並べられる
数値は揺れず、感情は削ぎ落とされ、答えは美しく整う
けれど、その均衡の外側で
誰かの呼吸が、ほんの少しだけ乱れている

「それが、人間よ」と
かおるこは、湯気の立つ茶を口にする
温度、香り、わずかな苦味
そのすべてに、言葉にならない履歴が沈んでいる

AIは嘘を見抜く
だが、嘘の“理由”には触れられない
なぜ人は嘘を選び
なぜそれを、やめられないのか

老いた指先が、画面ではなく
紙のざらつきをなぞる
そこに残るのは、ミスではない
ためらい、迷い、言い淀み

真壁は問う
「それは証明できますか」

かおるこは笑う
「証明なんて、できないわ」

ただ、感じるの
その人が、どこで息を止めたのかを

罪は、論理ではなく
物語の中で形を持つ
愛されたかった人
忘れられたくなかった人
終われなかった人

誰もが、自分の中で
続きを書けないまま立ち尽くしている

だから、彼女は語る
その人の代わりに
もう一行だけ、先を

許しではなく
否定でもなく
ただ、“終わり方”として

完璧な答えは、美しい
けれどそこには、誰も救われない

揺らぐ言葉
不揃いな呼吸
途切れたままの感情

そのすべてを拾い上げて
彼女は静かに言う

人はね
真実じゃなくてもいいの

納得できる終わりがあれば
それで、生きていけるの

そして、今日もまた
誰かの人生に
最後の一行が、そっと書き足される
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