妹に婚約者も功績も奪われた王宮代筆官、辺境で「手紙屋」を始めます~冷徹公爵が毎日通ってきて帰りません~
子爵令嬢エレノアは、王族や高位貴族に代わって手紙を書く王宮代筆官として、十年間も誰かの言葉を書き続けてきた。
国王の演説文も、戦没者遺族への弔慰状も、婚約者ユリウスが妹ロザリアへ送った恋文さえも、実際に書いたのはエレノアだった。
それなのに、華やかな妹は「心を動かす文章を書ける聖筆姫」と称賛され、エレノアは家族から役立たず扱いされていた。
そして王宮の祝賀会で、ユリウスはエレノアとの婚約を一方的に破棄し、ロザリアとの結婚を宣言する。
「その恋文を書いたのは、私です」
初めて真実を口にしたエレノアだったが、家族も婚約者も彼女を嘘つきと決めつける。さらに外交文書を偽造した罪まで着せられ、王宮から追放されてしまった。
行くあてもなく北の辺境へ流れ着いたエレノアは、亡くなった母親へ手紙を書きたいという幼い少女ミアと出会う。
届かないと分かっている手紙を、少女のために一晩かけて書き上げたエレノア。その姿を見ていたのは、「北境の狼」と恐れられる冷徹公爵ノアだった。
「俺は命令書なら書ける。だが、人の心を帰らせる手紙は書けない」
不器用な公爵から古い郵便局を与えられ、エレノアは辺境で小さな「手紙屋」を始めることになる。
文字を知らない老兵の謝罪。仲違いした姉妹の仲直り。亡き人へ宛てた最後の言葉。
誰かの想いを文章にするうちに、エレノアは少しずつ、自分自身の人生を取り戻していく。
一方、エレノアの文章を失った王宮では、妹と元婚約者の嘘が次々と露見し始めていた。
しかも、彼女を追放する原因となった偽造文書には、王国を再び戦争へ導こうとする陰謀が隠されていて――。
これは、誰かの言葉ばかりを書いてきた令嬢が、最後には自分の名前で未来を綴る物語。
そして冷徹公爵が、毎日のように手紙屋へ通いながら、たった一通の恋文だけはなかなか渡せない物語である。
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そして王宮の祝賀会で、ユリウスはエレノアとの婚約を一方的に破棄し、ロザリアとの結婚を宣言する。
「その恋文を書いたのは、私です」
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