「君は最初から私の妻だ」――一億円の借金のカタに嫁いだ契約結婚。相手は、十七年前に私が命を救った財閥の総帥でした
婚約破棄された翌日、雨の中で待っていたのは――日本経済を動かす男だった。
四年付き合った婚約者に、ある日突然「好きな人ができた」と告げられた美緒。理由も聞けないまま婚約は終わり、追い打ちをかけるように、父から継いだ建築設計事務所には一億二千万円の負債が発覚する。
社員の生活。父の遺した事務所。すべてが同時に崩れていくその日、目の前に現れたのは、六大財閥の頂点に立つ男・天城玲だった。
「橘美緒さんですね」
「君は、最初から私の妻です」
冗談かと思った。けれど彼は本気だった。
「事務所の負債、肩代わりします。条件は、私と結婚すること」
拒否権のない契約。逃げ場のない結婚。
けれど美緒が知らなかったのは――なぜ、日本一の財閥総帥が、一介の建築デザイナーにここまで執着するのか、その本当の理由だった。
止まったままの腕時計。彼が毎年、必ず一輪買う青い薔薇。そして、十七年前に亡くなったという「妹」の存在。
支配なのか、束縛なのか。それとも――。
「守っているだけだ」
その言葉の裏に隠された真実に、美緒はまだ気づいていない。
十七年前、まだ何者でもなかった一人の少女が、傷ついた一人の少年に、たった一言だけかけた言葉があったことを。
「私の人生は、私が設計します」
すべてを知ったとき、彼女は選ぶ。支配されるのではなく、支え合う未来を。
これは、拒否権のない契約結婚から始まり――
互いに気づかぬまま、互いの人生を二度救い合っていた、二人の物語。
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