言祝ぎの巫
生きることに意味も価値も見出だせないまま、それでも花咲佳は生来の生真面目さ故かなんとなく真面目に生きている。
佳は幼い頃より使う言葉を制限されていた。口にすることも書き留めることも。大学に入学するまでは学校へ通うこともなく家庭教師としかほとんど接点がなかったため、そのことを疑問にも思わなかった。大学を卒業し、小さいながらも自分のバーを開業した今は疑問に感じつつも、なんとなく禁止された言葉は使わないでいる。
ここ最近巷を騒がせている、帰ってきた失踪者たち。首府のあちこちで突如姿を表した彼らは「言祝ぎを探せ」「言祝ぎはどこだ」という謎の言葉を発するとその場に崩れ落ち息絶えた。その体には未知の紋が刻まれていたという。
自分には関係のないことと思っていた佳だが……
神と精霊の国と称される皇国の国家保安省や国防省、自国こそ神と精霊の国だと主張する海を隔てた隣国の鴆、妖精の国と言われるカラ=スラインタ……いろいろな思惑のもと『言祝ぎ』が狙われ始めた。
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