『婚約破棄された魔法校正士は、辺境公爵の呪いを読み解く』 ~王宮の魔法に赤字を入れていた私を「誤字を直すだけの無能」と追い出したようですが、
「公爵様の魔法は、間違っていません。私たちのほうが、読み方を忘れているんです」
王立魔術院で、術式の誤字や欠落を見つける「魔法校正士」として働いていたリティシア。
彼女の仕事は、事故が起きる前に間違いを消すこと。
そのため、何も起きなければ成果は誰にも見えない。
そんなある日、王都の新型防衛結界に危険な三文字の欠落を見つけたリティシアは、起動延期を訴える。
しかし婚約者セドリックから返ってきたのは、
「君は細かいところを気にしすぎる」
という言葉だった。
結局、結界は暴走。
リティシアが大事故を防いだにもかかわらず、待っていたのは職務停止と婚約解消だった。
王都を去った彼女が向かったのは、雪深い北方グランツ公爵領。
そこで出会ったのは、触れた魔法を次々と壊してしまうことから「呪われ公爵」と恐れられるアルヴェインだった。
だが、彼の魔法を調べたリティシアだけは気づく。
壊れているのではない。
アルヴェインの魔法は、現代では失われた“旧い術式文法”に従っているのだと。
誰からも欠陥扱いされてきた魔法を、初めて「間違っていない」と言ったリティシア。
誰にも評価されなかった彼女の仕事を、初めて当然のように価値あるものとして扱うアルヴェイン。
二人は領内の壊れた井戸、防壁、暖房設備を直しながら、やがて王国全土の地下に眠る巨大な術式の秘密へ近づいていく。
一方その頃、リティシアを失った王都では、街灯、水道、結界――これまで彼女が人知れず防いでいた“見えない失敗”が次々と表面化し始めていた。
役に立たなければ、自分には価値がない。
そう信じていた魔法校正士が、仕事と仲間、失敗、そして不器用な恋を通して、自分の人生を選び直していく。
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