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第238話 協力
しおりを挟む──俺は回復魔法を使っていく。相手はそこに転がっている、アルタイル、ベガ、ロゼにだ。つーか、自分で倒して自分で治すのは初めての経験だな。
ボワァ! っとした緑の光を放ちながら、次々と回復させて行く。持ち時間は1分。急がねば。
「んっ、んっ……私は、どうなった」
「……うっ」
「んっ!!」
「よう、お目覚めか? 社畜共?」
「き、貴様!!」
「待ちなさい」
俺を睨み付けるアルタイルを静止したのは女王だ、続けて慌てて起き上がる、ベガとロゼにも待てのジェスチャーをしている。
「簡単に状況説明すると〝魔王信仰〟が攻めてきたわ、しかも相手のボスは、あの〝屍〟シリュウ・ブラック──家の国の〝魔術柱〟も破壊されたわ」
「……し、シリュウ・ブラック!? それに〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟が……あ、悪夢だ……」
目を見開き信じられないと言った感じのアルタイル。ベガとロゼも驚いた顔で話を聞いている。
(つーか、早く、参戦してくんねぇかな? ドM王子の治療もしてやんなきゃだし……)
その間も俺は向かってくる〝魔王信仰〟を斬り捨てる──勿論、この馬鹿共に容赦はしない。殺す気でかかる。
「……この男は、今は〝魔王信仰〟を相手にしてるようですが……」
疑いの眼差しで俺を見ながら女王に質問をするアルタイル。その質問に女王は冷静に返事を返す。
「貴方たち全員、今は協力しなさい。まずは〝魔王信仰〟の討伐が最優先よ」
「「「ハッ、かしこまりました」」」
「話は纏まったか?」
「ああ、不本意ながらお前に協力する」
「それでいい──で、お前ら、女王と、ついでにドM……ん、んっ、ヴォロンを連れてさっさとここを離れろ? 〝魔王信仰〟の相手は俺とエルルカでする」
「我々に尻尾を巻いて逃げろと? ここは我らの国だぞ!」
「愛国精神はいいが、今まで寝てた奴がよく言う。お前らじゃ、下っ端はともかく、あの死死死死野郎──シリュウの相手は無理だ、死にてぇのか?」
「何を!!」
「アルタイルやめなさい」
「ですが……くっ、エルサリオン様がいてくださったら……」
「死んだ男の話もやめなさい〝世界樹〟へ向かうわ。火澄とも合流できるし、護衛は頼めるわね?」
「ハッ、この命に代えても!!」
「お、おい、俺も連れていけぇ!!」
そこに現れたのは、フォルタニアの婚約者である、あの豚エルフの──ボルス・ハンジだ。
その横には紫髪の青年が騎士の如く、ビシリッとした姿勢で立っている。
「では、こちらに」
アルタイルが言う。女王も異論は無いらしく、黙って見届けている。
(ったく、この豚野郎も結果的に助けなきゃいけねぇのかよ?)
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