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第243話 吹っ飛べ

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「出身は日本という国だ」

 女王に出身を聞かれた俺は少し意地悪な回答をする。つーか俺は女王のこと正直、信用してないからな? 
 このタイプの奴は国の為なら、いくらでも考えを変える。簡単に言ってしまえばのだ。それこそ自分の娘を政略結婚の道具に使うような人物だ。俺は信用を置かない。

 今は結果的に〝シルフディート〟に協力してるが、別にエルフの国の為じゃない。フォルタニアの為だ。

(そもそも俺はフォルタニアを連れて、さっさとずらかっても良かったんだ。どうせ〝エルフの国〟からは遅かれ早かれ、追われる事になるだろうしな?)

 ──後は強いて言えばエルルカの為だ。
 あの〝魔王信仰〟の人数とシリュウを一人で相手にするのは、流石のエルルカでも荷が重い。
 
 ん? アルタイル達を倒したのはお前だろって?
 さて、何のことだか。てか、こう言っちゃあれだが……アルタイル達じゃ、この戦いはだ。

 〝シルフディート〟の戦力は一国の戦力としては他の国と比べると一回りぐらい弱い〝八柱の大結界〟の〝魔術柱コムルナ〟を守る国──まあもう破壊されたらしいけど……ん、んっ、とにかく〝魔術柱コムルナ〟を守る国としてはいささか戦力に欠ける。

 オマケにあんな化け物、まで出てきたってんなら、最早、国を捨てて逃げ出すレベルだろう。

「日本? 馬鹿にしてるの? そんな国はこの世界に存在しないわ」

 目を細め不機嫌な女王。それにどうやら女王は世界の国の名前を全部覚えてる程には博識らしい。

 そしてチラリと女王の背後にいる、フォルタニアに視線を向けると、目を向けられたフォルタニアは無言で頷く。俺の言葉に嘘が無いと言う意味を込めて。

「!?」

 これには女王が目を見開いて驚く。そのフォルタニアを見た女王は「稗月ひえづき……偶然かしらね」と呟く。

(偶然? 何の話しだ?)

「──っと、長話ながばなし、し過ぎたな」

 俺は足に魔力を込めると、、ウルスラのいる空を目指し空を駆け上がる!

 ウルスラの頭上まで登った俺は、右腕に強く魔力を込め、

「──本日二度目の同じセリフだが、まあ、、コラァァァ!! 戦場までの片道切符だァ!」

 ……と、

 比喩では無い、そのまんま読んで字のごとく、轟音と爆風を巻き上げ、蜷局とぐろを巻いてる為、実際より小さく見えるが、体長にすると300mメートルはあろうかという、巨大な伝説の黒龍であるウルスラを西へと叩き落とした。

「──GUGYAAAAグギャアアアアAAAAAAAAAアアアアアアアア!!!!」

 大気が揺れる程の絶叫に、その場にいた物の多くが耳を塞ぐ。唯一例外なのは、それでも狂気染みた笑みを浮かべる〝魔王信仰〟の一同だけであった。
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