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第290話 ノアの部屋
しおりを挟む「──じゃ、寝よっか?」
時間は結構もう遅い時間だ。
ノアが意外と帰ってくるの遅かったんだよな。
まあ、聞いた話しだとエメレアの治療とかしてくれてたからみたいだけど。
ぐいぐいと、背中を押され、ベッドの前まで来る。
「一緒に寝よ♪ 一応、聞いとくけど。前にクレハさんと私と一緒のベッドで寝てるし、断らないよね♪」
「クレハと言い、フォルタニアと言い、この世界の女は警戒心が無いのか? 結構キワどいこと言ってるぞ?」
「うーん、それはユキマサ君の思い違いかな。クレハさんもフォルタニアさんもユキマサ君だからだと思うよ? かく言う私も同じかな? 確かに出会って日にちは浅いけど、ビビッと来るものはあるよ。じゃないと一目惚れ何て言葉は存在しないことになるしね♪」
……ッ。
「信頼してくれてるってことなら、悪い気はしないが……」
ふわりとしてるようで、でも凄く真っ直ぐなノアの言葉への返事に、俺は少し言葉が詰まる。
「そんなレベルじゃないんだけどな? ユキマサ君の苦手分野、発見かな? ぶっちゃけちゃうと、私的にはユキマサ君となら男女の関係になってもいいと思ってるよ? 自分の部屋に連れ込んで、ベッドまで共にするんだからそれぐらいの覚悟はあるつもりかな♪」
「どう反応すりゃ良いんだよ……?」
「感想ぐらいは聞かせて貰えるかな? 女の子にここまで言わせてるんだからね♪」
「控え目に言って最高な気分だ。俺だって男だしな。可愛い異性にチヤホヤされて悪い気何てする筈ない」
「うん♪ 満点回答かな『控え目に言って最高』いい言葉だね♪ うん、気に入ったよ♪」
左手をグーにして口元を隠しながらノアは笑う。
「でもまあ、今日は状況が状況だし、既成事実の作成は次の機会にってことにしておこうか。ユキマサ君はクレハさんを無下にはできないだろうし♪」
「なぜ、そこでクレハが出てくる?」
「私のカンかな? 私の一番のライバルになるとしたら正直クレハさん一択なんだよね。私が知る中での話しだけどね♪」
沈黙。
「この際、ハッキリ聞いておこうかな。ユキマサ君は誰が好きなの? 勿論、恋愛感情的な意味で♪」
ニヤリと、だが上品に笑いながら、ノアは俺に質問してくる。ホント物事ハッキリ言うよなコイツ。
「分かったよ。宿代の代わりに質問ぐらいには答えてやる。結果からいうと、今の俺に恋愛感情ってのは無い。いや、正確には分からないんだ。恋愛ってのが」
「ふむふむ続けて」
「可愛いとか美人だなとかはある。でもそれとこれは違うだろ? これが元いた世界での俺の本音だ」
「元いた世界? じゃあ、こっちの世界は?」
「それが、可愛いなとか美人だな。でも今はそれ以外にも一緒にいると落ち着くだとか、一緒にいたいって感情まである。まあ明確にエルルカに告られたりしたのも、変に意識はしちまってるよ」
「じゃあ、嫌な質問するね♪ 私はどれぐらいかな? 正直に言ってもらえると嬉しいな? あ、私のさっきの言葉は告白と受け取ってもらっていいよ♪」
さっきの言葉?
ああ、男女の関係になってもいいってやつか。
「人生で1、2位を争う程の上位だよ。一緒にいて楽しい。しかも超絶美少女で性格も悪くない。ぶっちゃけると、嫌な言い方だが、俺も男女の関係になってもいいかなと割りと本気で思うぐらいにはタイプだ」
「わぉ、何か身体が火照って来ちゃった♪ でも、今の段階だと、もし私が入れる余地があるとすれば、クレハさん達の件が白黒付いた後か、それか私は第二夫人になるって線が一番確率あるかな♪」
「ぶっ! そもそも嫁がいないのに、どこから第二夫人なんて言葉がどっから出てきたんだよ!?」
「それぐらい私はユキマサ君のこと気に入ってるんだけどな? 勿論、異性として──♪」
ほんわりとしてるが強い言葉だ。ノアの言葉には、その言葉一つ一つに不思議な重みがある。
恐らくはこれも心からの本心を言ってるのだろう。
(──ったく、どうしろってんだよ……)
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