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第494話 奴隷オークション7
しおりを挟むそれにしても──〝アダマンタイト鉱石〟に〝オリハルコン〟に〝ヒヒイロカネ〟そんな伝説の金属が異世界には普通に存在しているワケか。
〝アダマンタイト鉱石〟とはダイヤモンドに匹敵する硬い鉱石と言われている。勿論〝元いた世界〟では存在し無い鉱石だ。漫画やゲームのファンタジーの世界では武器の素材として用いられるとか何とか。
対して〝オリハルコン〟は俺の知る範囲の知識だと古代ローマ文献にある、結構有名な幻の大陸〝アトランティス大陸〟で作られた超金属が〝オリハルコン〟だった筈だ。つーか〝オリハルコン〟は現代文明のそのまた上を行く超科学の技術の産物だと牧野に聞いた気がする。
そして〝ヒヒイロカネ〟──正直これが俺は一番驚いた。何せ〝ヒヒイロカネ〟とは伝説上は日本の産物だ。偽者と言われている古事記に登場する。俺に取っては最も言ってしまえば身近な架空金属だ。てか、もう本当に伝説としか言い様の無い金属である。
聞いた話だとダイヤモンドより硬いらしい。
ちなみにもしこの3つの中でどれが一番実在しないと考えられるかと聞かれれば一番に名前があげられるのが〝ヒヒイロカネ〟だろう。それぐらい〝ヒヒイロカネ〟の存在は日本人には衝撃的だ。
「〝ヒヒイロカネ〟は、お話した私の故郷の〝スイセンの国〟で採れる希少金属ですよ」
「ああ、っぽいな!」
と、俺と桜が話をしていると。
「お願いします……! 貴方を殺そうとまでしておきながら、大変図々しく手前勝手なお願いとは重々承知ですが、どうか、足枷も壊してください!」
床に這いつくばり、頭を下げるトランプは必死その物だ。手錠だけ外れても足枷も外せなければ何の意味もない。むしろ脱走しようとした証拠が残るだけだ。
無言で俺はスリアの足枷を斬る。
「あぁ……ありがとうございます。ありがとうございます!」
手錠と足枷の外れたスリアに駆け寄るトランプは涙を流しながら、スリアを抱き締めた。
「すいません。遅れてしまいました。しかも私が助けたワケでもない。ダメな男ですね、私は──」
「ううん、貴方は私の為に戦ってくれた。待ってた、私、待ってたわ。夢みたい、また逢えるなんて」
「感動の再会はいいが、お前らさっさとこんな所から出ちまいな。二度と戻って来るんじゃねぇぞ」
「ふぇぇ、良かったですね!」
桜はそんな二人を見て泣いてる。
涙脆いタイプなのかね。
「あ、貴方はどうするんですか?」
「俺は奴隷共を逃がしてから戻る」
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