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第503話 国狩り2
しおりを挟む──〝ジークア王国〟王宮
「な、何事じゃッ!?」
「報告します! 襲撃、襲撃です!!」
ガラガラと音を立てて崩れる王宮の中、慌てる6人の王族と奴隷商人、そして状況を確認する兵士。
「尋常じゃないな、王宮を真っ二つ何て。首を取った暁には報酬は弾んで貰えるんですよね?」
「傭兵か、無論だ。金貨1000枚を約束しよう」
傭兵団の団長の男の言葉に王族の一人が返答すると、残りの傭兵団から「おぉ!」と歓声が上がる。金貨1000枚あれば当分は遊んで暮らせる額だ、傭兵達の士気は鰻登りだ。
「行け! あの黒男の首を早く取って来い!」
そう王族の男が言い放った瞬間だ──
「ギャアァァァァ!」
「化物だ! 化物が二人いる!」
「聞いてねぇぞ、こんなの!」
「この距離で銃が当たらねぇ、どうなってんだ!?」
兵士及び傭兵団が次々怯えて逃げ帰って来る。
刃は通らず、銃も効かず、魔法も効かない。
そんな相手をどうしろと言うのだろうか? と、兵士と傭兵団は口を揃えて思った。
*
王宮に攻め行った俺たちは何故か既に武装していた兵士達を倒しながら進む。
桜に被せていたフード付きマントは今はクレハに被せてある。一応はクレハは俺に拐われたことになってるからな。一番に顔を隠すべきなのはクレハだ。
そんな中、一歩前に歩き出てきたのは一人の男だ。傭兵団の団長だ。背中の大剣に手をかけ見るからに戦闘モードだ。
「お前に恨みはねぇが、お前を殺せば金貨1000枚を貰えるらしくてな、悪いが死んで貰うぜ?」
傭兵団の団長が舌鼓を打ちながら言う。
金貨1000枚、日本円で一億もらえるのね。そりゃ、楽しそうな笑みを浮かべる筈だ。
つーか、ポンと一億出したのかよ、税金の無駄遣いだろ。この国の税金どれぐらいか知らないけど。
「親切心で言ってやるが、損してるぞお前──」
迷惑なことにこちとら金貨10000枚──日本円で10億の懸賞金が懸けられてるんでね。
金貨1000枚だと、その10分の1の額だ。
「何の話だ? 死ねぇ!」
何だこの剣は? 傭兵団長の男の剣はくねくねと蛇のように曲がり、伸びてくる。
俺は月夜で応戦する。
右、上、下、左、弾いても弾いても四方八方から刃が伸びてくる。
目を閉じ、刃の気配を追う。
(──ココだ!)
ガキン!
伸びる剣を真っ二つに斬る!
「何だと!?」
「お前には用はねぇからよ、寝てな──!」
そのまま距離を詰め傭兵団長の顔面を掴み地面に叩きつける。まあ、死なないようには手加減した。
さて、王族の居場所は──
あぁ、相変わらず玉座に座ったまま固まってるよ。
王宮が戦争でもないのに攻められるなんて思いもしなかったんだろうな。
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