闇を抱く白菊 —天命の盤— 復讐の華は、冷酷将軍の腕に咲く。

姉の命を奪ったのは、敵国の王太子。

復讐の刃を胸に秘め、公主・玉蓮は戦場に降り立つ。

舞台は、騎馬民族国家と大国が覇を競う、中華風の戦乱世界。


十六歳になった彼女がその身を投じたのは、敵味方から恐れられる『殺戮将軍』・赫燕(かくえん)の軍だった。

冷酷で非情、そして天才的軍略を持つ赫燕の闇を、彼女はあえて利用しようとする。

だが、憎しみを糧に生きるはずが、彼の腕の中で知ってしまったのは、同じ傷を持つ魂の共鳴と、身を焦がすほどの熱。

「お前は、俺のものだ」

彼の独占欲に囚われ、その闇に染められていく日々。

そんな彼女の前に、気高い光を宿す、もう一人の英雄、敵国 玄済国の大都督・崔瑾(さいきん)が現れる。

「私が、お助けいたします」

獣の腕の中で咲く復讐の華か、光の腕の中で救いを得るか。

公主・玉蓮の、あまりにも過酷で甘美な中華風恋愛譚。
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