花咲く丘で出会ったきみへ ~ 寂しがりやの山神と隻腕の少年の異類婚姻譚 ~
長らく内に閉じこもっていた国が、外つ国と交流を始めた時代。
とある山奥にある農村には、生まれたときから左腕しかない少年が暮らしていた。
村長から最低限の庇護を受けながらも、母屋で暮らす同い年の異母兄弟たちから虐げられる日々を送っていた。
そんな少年には、時折見る不思議な夢があった。
花咲く丘、小袖を頭から被って目元を隠している女性と話をする夢だ。
でも夢の中で自由に動けるわけでもなく、ただ女性に会いに来ている男を通して見る夢。
会話は聞こえないが楽しげに話している様子を眺めるだけ。
数えで6つの少年には何の話をしているのかは分からない。
けれど懐かしいような悲しいような、そんな夢は代わり映えのない日々のひとつの楽しみでもあった。
年が明け、数えで7つとなった少年たちに村長から「山神様に奉公すること」と役目を与えられた。
そして山神の社殿が荒らされた日から、少年の夢に変化が訪れる。
「怖かろう。このような見目の女など」
「僕も腕がひとつないよ。こわい?」
「……怖くないよ。怖いものか」
「じゃあ僕もこわくないよ」
「どんな理屈よ」
ひとり約束を守り待ち続けていた女神と、人と違う姿で生まれたために虐げられてきた少年が、互いを選ぶまでの話。
※ なんちゃって明治時代がベースです。
※ 作中に、現在では差別用語に分類される呼称、児童虐待、身体欠損への差別的表現が含まれます。差別を助長・肯定する意図はありません。
※ カクヨム、なろうにも公開しています。
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