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二章:思春期~新成人
カイル
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『巫女様・・・ご無事で・・』
「あなたはどなたでしょうか」
カイルはリリィと男の間に入る。白い布を纏った男は動揺したようだが身を正した。
「東の国から参りました、レイ・リーと申します」
「ああ、使者さんでしたか。私は伯爵カイル・ザッチャー。失礼ですが、私のパートナーに何か?」
東の国との前回の戦争で負けたことにより、東の国はこの国、イーストランドの従属国となり今回の戦争でも援軍を出していた。その関係で今回東の国に使者もパーティーに呼ばれたのだ。
「いえ、とても知り合いに似ておりましたのですが、勘違いでありました」
「彼女に似ているなんて相当な美人なのでしょうね」
「ええ、もう何年もお会いしていないんですが
今は相当な美人になっているのでしょう」
お互い愛想笑いを浮かべ、警戒を緩める様子はない。
「じゃあそろそろ失礼します。行こう、リリィ」
「は、はい・・・」
「リリィさんと、仰るのですね」
「まだ何か?」
「いえ」
男は東の国の作法でにこやかに二人を見送った。
(変な奴だったな・・・)
東の国はオーラがない代わりに、予言や呪いなどといった不思議な能力を持つ者が何人か存在していると聞いている。小国ながら今まで戦争で惨敗していないのも、そのおかげだと噂されている。
(リリィちゃんの秘密が分かるかもしれない・・・それが吉とでるか凶とでるかは、分からないが、調べてみる必要があるな)
「リリィちゃん、大丈夫?顔色が悪いけど」
「う、ううん、ちょっと疲れちゃっただけ」
(リリィちゃんも、何か知ってそうだ)
あの男に会ってから明らかに動揺して真っ青な顔をしている。
「そろそろ帰ろうか」
「もう、いいの?」
「ああ、もう表彰は終わったし、役目は果たしたよ」
(僕の運命もリリィちゃんにかかっているかもね)
カイルの目標を達成するには、ヴィンセントの協力は必須である。そしてヴィンセントの意思を動かすもの、金でも名誉でも何でもない。それは彼の唯一の秘宝なのである。
「あなたはどなたでしょうか」
カイルはリリィと男の間に入る。白い布を纏った男は動揺したようだが身を正した。
「東の国から参りました、レイ・リーと申します」
「ああ、使者さんでしたか。私は伯爵カイル・ザッチャー。失礼ですが、私のパートナーに何か?」
東の国との前回の戦争で負けたことにより、東の国はこの国、イーストランドの従属国となり今回の戦争でも援軍を出していた。その関係で今回東の国に使者もパーティーに呼ばれたのだ。
「いえ、とても知り合いに似ておりましたのですが、勘違いでありました」
「彼女に似ているなんて相当な美人なのでしょうね」
「ええ、もう何年もお会いしていないんですが
今は相当な美人になっているのでしょう」
お互い愛想笑いを浮かべ、警戒を緩める様子はない。
「じゃあそろそろ失礼します。行こう、リリィ」
「は、はい・・・」
「リリィさんと、仰るのですね」
「まだ何か?」
「いえ」
男は東の国の作法でにこやかに二人を見送った。
(変な奴だったな・・・)
東の国はオーラがない代わりに、予言や呪いなどといった不思議な能力を持つ者が何人か存在していると聞いている。小国ながら今まで戦争で惨敗していないのも、そのおかげだと噂されている。
(リリィちゃんの秘密が分かるかもしれない・・・それが吉とでるか凶とでるかは、分からないが、調べてみる必要があるな)
「リリィちゃん、大丈夫?顔色が悪いけど」
「う、ううん、ちょっと疲れちゃっただけ」
(リリィちゃんも、何か知ってそうだ)
あの男に会ってから明らかに動揺して真っ青な顔をしている。
「そろそろ帰ろうか」
「もう、いいの?」
「ああ、もう表彰は終わったし、役目は果たしたよ」
(僕の運命もリリィちゃんにかかっているかもね)
カイルの目標を達成するには、ヴィンセントの協力は必須である。そしてヴィンセントの意思を動かすもの、金でも名誉でも何でもない。それは彼の唯一の秘宝なのである。
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