着てはもらえぬセーターを ―待ちぼうけ令嬢の複雑な編み図―
三年前。
ダイアナは恋人に糸を選ばせ、「帰ったらこのセーターを着てね」と笑って見送った。
けれど彼は帰らなかった。戦場へ行ったまま、便りもなく、消息も絶えたまま。
それでもダイアナは、編みかけのセーターをほどかず、ほどけず、少しずつ編み続ける。
待つことだけが恋だと思っていた――あの人に着てもらえる日が来ると信じて。
でも気づいてしまった。
編みかけの袖を眺めながら、彼女の手元に残ったのは、別の誰かの温もりであることを。
セーターって、
編み始めに糸を買った男と、
完成したときにもらう男が、違っていてもいいじゃない?
“待ちぼうけ令嬢”と呼ばれた一人の娘が、
恋と人生の編み目をほぐしながら、自分の素直な心を編んでいく物語。
。
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