短編「内側の鍵」
帰宅したはずの自分が、なぜか部屋に入れない。
鍵は開いているのに、ドアは内側から閉じられている。混乱する中、かかってきた一本の電話。見知らぬ声は、部屋の中の状況をすべて知っていた。そして告げられる。「あなたはもう、先に帰っています」と。やがてドアの向こうに現れる“もう一人の自分”。同じ顔、同じ声。それでも決定的に違う何か。閉ざされた内側と、取り残された外側。境界が曖昧になったとき、自分という存在の行き場が静かに崩れ始める。
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