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懐かしい思い出
しおりを挟む授業が終わり家路に着く。六時間授業は長かったなと俺は首をポキポキ鳴らす。
同じ制服に身を包んだ生徒達がぞろぞろと前を歩いている。ちなみに男子生徒はブレザーで女子生徒はセーラー服なのだ。まあ、同じ制服と言っても俺以外はもふもふの猫ではあるが。
そんな皆の姿を眺めていると。
人間界での前世を思い出した。あの頃も同じ制服に身を包んだクラスメイトと肩を並べて歩いた。
なんだかあの頃の懐かしい気持ちがじわじわと蘇ってきた。人間界の俺も辛いこともあったけれど基本的に幸せだったな。
そんな遠い前世の記憶を思い出し、俺はもふもふ集団を眺め歩いた。
「猫太、お~い、猫太」
「あ、うん」
「なんだかボーッとしてるけどどうしたんだ?」
振り向くと、猫助が首を傾げ俺を見ていた。
「人間界の前世が懐かしいなと思って……」
「そっか、前世の記憶があるのは良いのか悪いのかどっちなんだろうね。でも、羨ましいな~俺も自分の前世を知りたいよ」
猫助には前世の記憶があることは話してある。
「そっか、羨ましいかな? だけど、全てを覚えているってわけではないけどさ」
そうなのだ。覚えていることと忘れていることがあるのだった。きっと、忘れたいことは前世に置いてきたのかなと思う。
よく覚えていることといえば猫が好きで好きでたまらなかったことなのだ。前世の記憶の欠片がぼんやりとキラキラと輝いている。
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