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俺の家族
しおりを挟む猫助とにゃんぴに「また、明日~!」と手を振り赤色の三角屋根が可愛らしい煉瓦造りの自宅に辿り着く。
庭には薔薇が咲き乱れている。俺のお母さんは薔薇の花が好きなのだ。というか花全般が好きらしくて薔薇以外にも俺の知らない名前の花や緑がいっぱいで癒される空間になっている。
木製の玄関の扉を開けると俺の大好きなカレーの香りがしてきた。
すると、俺のお腹がキュルルーと鳴り、ああ、お腹が空いていたんだなと気がついた。
「ただいま~」
俺は元気よく部屋の中に向かって声をかけた。
「猫太、おかえりなさ~い」
お母さんの声が台所から聞こえてきた。
靴を脱ぎ部屋に上がり台所の暖簾を捲り顔を出す。すると、もふもふなお母さんが台所に立っている後ろ姿が目に入った。俺の気配に気がついたお母さんがしゃもじを片手に振り返った。
「今日は、猫太の大好きなカレーだよ。手を洗ってうがいをするのよ」
「は~い! 分かったよ」
俺は素直に返事をする。
「素直でよろしい」
三毛猫のもふもふなお母さんに言われるのもなんだかなと思いながら洗面所で手を洗いうがいをした。
部屋の中はカレーのスパイシーな香りが漂っていて鼻腔をくすぐる。
ふふっ、今日は俺の大好きなカレーだと思うと嬉しくなる。俺もなんだかんだ言っても食いしん坊じゃないかと思うと可笑しくなってきてクスッと笑ってしまった。
「猫太ってば一人で笑っていて気持ち悪いんだけど」
俺の背後から声が聞こえてきた。振り返ると姉のみい子が後ろに立っていて馬鹿にしたような目で俺をじっと見ている。
「あ、姉ちゃん」
「猫太ってばクスクス笑って不気味~」
この姉は美猫なのに憎たらしくてその可愛さも半減するのだった。
「姉ちゃんって意地悪だね」
「意地悪だなんて失礼だよ。さあ、今日はカレーだ。楽しみだな~」
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