自分の望みがわからない 小説一覧
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世界が平和になって、俺の「役割」は余った。
彼女は、ずっと憧れてきた「お嬢様」を、ようやく始めたところだった。
激務の任務から解放され、「必要とされる仕事」を失った元エリート・アッシュ。
長期休暇に入り、勉学の賞金で両親を説得し、「お嬢様ごっこプロジェクト」を立ち上げた優等生リリー。
平和な王都の広場で交わされたのは、少しずれていて、でも真剣な契約でした。
――一、優雅に。
――二、楽しく。
――三、対等で。
仕立て屋でのドレス選び、市場散策、庭園のベンチ、雨やどりの軒下、美術館の窓辺の絵。
「お嬢様」と「執事」のごっこ遊びは、
やがて「自分の望みがわからないままでも隣にいていい」という、
ささやかな条文をふたりの胸に刻んでいきます。
街のため、国のため、誰かの期待のため。
そのどれでもありながら、「自分の願い」がまだ言語化できないふたりが、
ゆっくりと“途中のまま”歩調を合わせていく、
叙情シリアス寄り・ほの甘契約恋愛物語です。
文字数 10,640
最終更新日 2025.12.07
登録日 2025.12.07
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