現世(うつしよ)と隠世(かくりよ)の境に位置する、雨の降らぬ不思議な寺。
そこは、常に虹がかかり、四季折々の花が咲き乱れる「四季の概念がない」静謐な場所。
この地を治める一族の長である幽花(かすか)は、世界中の死者の名が自然と刻まれていく「過去帳」をたった一人で管理し続けていた。
ある夜、本堂の内陣に置かれた過去帳が赤白く光り輝き、刻まれていたはずの文字が空中に溶けて消えていくという異変が起きる。
戸惑う幽花の前に現れたのは、着物姿の正体不明な青年——縁(えにし)だった。
文字数 877
最終更新日 2026.05.11
登録日 2026.05.11