一途な片思い 小説一覧
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ラブレターの宛名は、僕だった。
「好きな人への手紙を書いてくれ。三十日かけて」
人の恋なら、いくらでも言葉にできる。
けれど、自分の気持ちだけは書けない――。
高校二年の水瀬律は、誰にも言えない恋を文章にする、文芸部の“恋文屋”。
そんな律の前に現れたのは、学校一モテる男子バレー部主将・朝倉湊だった。
湊から頼まれたのは、好きな人へ渡すラブレターの代筆。
ただし条件はひとつ。
一日一問。
三十日かけて、その人を好きになった理由を聞いてほしい。
「いつ好きになった?」
「中二。六月十九日。雨の日」
それは、律が四年間ずっと忘れたかった日だった。
さらに湊が語る“好きな人”は、なぜか律と似ている。
嘘をつくと鼻を触る。
嫌いなものは左で噛まない。
笑う直前、左の口角だけが上がる。
偶然にしては、似すぎている。
それでも律は気づかない。
自分が毎日書いているその恋が、
最初からずっと――自分に向けられていることに。
人の「好き」は書けるのに、自分の「好き」は書けない少年。
四年間想い続けたのに、「好き」と言えなかった少年。
三十の質問と、一通のラブレター。
最後の一行だけは、もう誰にも代筆できない。
これは、“好きになる物語”ではない。
自分の気持ちを、自分の言葉で誰かに渡せるようになるまでの物語。
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文字数 42,340
最終更新日 2026.08.20
登録日 2026.08.16
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