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誰にも選ばれないと諦めていた王女が、氷の騎士と出会い、王宮の外の世界へ旅に出る。
古い伝承と、食い違う物語。その奥に隠された、三つの国の秘密。
エステリア王国の第一王女アヤ・ソヴェールは、ふくよかな容姿を「醜いあひるのお姫様」と嘲られてきた。夜会では誰にも誘われず、縁談も来ない。それでもアヤは、傷ついた者がいれば手を差し伸べ、妹たちや国のために、自分にできることをする。誰かに選ばれることなど、とうに望んでいなかった。
そんなアヤに目を留めたのが、北の国サルヴィアから来た黒騎士隊長、ジェフリー・ハルセリン。美しい顔に表情を浮かべず、どんな令嬢にも心を開かない彼は、「氷の騎士」と呼ばれていた。ジェフリーが見ていたのは、華やかな王女たちではなく、人の輪の外で黙って誰かを助けるアヤの姿だった。
ジェフリーがエステリアへ来たのは、冬ごとに祖国を襲う病を癒やすという、伝説の秘薬を探すためだった。その手がかりが記された古い書物を読めるのは、王国でただひとりアヤだけ。
アヤは王宮を出て、ジェフリーや黒騎士たちとともに、本でしか知らなかった世界へ足を踏み出す。
旅の先で待っていたのは、美しいものばかりではなかった。飢えた町。売られていく人々。王宮からは見えなかった、自分の国の姿。
本で世界を知っていた王女は、旅の中で、世界そのものを知っていく。
その隣には、いつも一人の騎士がいる。
想いを胸の奥へ押しこめてきた騎士と、好意をただの優しさだと受け取ってしまう王女。
同じ景色を見て、同じ道を歩きながら、ふたりの距離は、少しずつ変わっていく。
※小説家になろう でも掲載しています
文字数 250,917
最終更新日 2026.11.07
登録日 2026.10.24
氷の騎士と呼ばれる男にも、笑えなくなった理由がある。
あひるの姫と笑われた王女にも、誰にも見せなかった涙がある。
軽口ばかりの騎士にも、名を残さない斥候にも、赤い髭の隊長にも、それぞれに歩いてきた道がある。
北の国サルヴィアの黒騎士、ジェフリー・ハルセリン。
贈り物は受け取らない。差し出された杯には口をつけない。どんな令嬢の涙にも、顔色ひとつ変えない。
人は彼を、冷たい男だと言う。
彼がなぜそうなったのかを、知る者はほとんどいない。
南の国エステリアの第一王女、アヤ・ソヴェール。
どれほど笑われても、いつも穏やかに微笑んでいる王女。
その微笑みの奥にあるものを、誰も尋ねたことはなかった。
ひとりの騎士が、自分の隊長を選んだ理由。
ひとりの王女が、本を開き続けた理由。
そして、ひとりの隊長が、どうしても報われない理由。
『醜いあひるのお姫様』本編では描ききれなかった、登場人物たちの過去や想いを綴る短編集です。
どの話からでも、ひとつずつ読めます。
本編を読んだあとなら、あの場面の向こう側が、少しだけ見えるかもしれません。
本編『醜いあひるのお姫様〜誰にも選ばれない私を、氷の騎士だけが見つけてくれました〜』も公開中です。
※小説家になろうにも掲載しています。
文字数 124,631
最終更新日 2026.11.07
登録日 2026.10.27
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