4
件
世界最強の夫婦は、まだ互いの正体を知らない。
高城直人と高城結衣。結婚して三年。付き合っていた頃と変わらず互いを大切に想っているが、その気持ちを普段から口にすることは少ない。
表向き、二人はどちらもFランク探索者。
だが夫・直人の正体は、世界にわずかしか存在しないSSS級探索者《ノクス》。妻・結衣の正体は、国家すら存在を秘匿する伝説の《聖女》だった。
二人とも「危険な世界に愛する人を巻き込みたくない」という理由から、認識阻害術式で正体を隠している。
夫は思う。
――結衣は俺が守る。
妻も思う。
――直人は私が守る。
守ろうとしている相手こそ、自分と並ぶ世界最強だとも知らずに。
そんなある日、夫婦が所属するFランクパーティーは初心者向けダンジョンで異常変異に巻き込まれる。
正体を明かすわけにはいかない。
それでも、この人だけは絶対に死なせない。
互いの死角で世界最強の力を使い、必死にFランクを演じ続ける二人。
しかし事件の裏には、人工的なダンジョン変異、暗躍する組織、三十年前の事故、そして世界中のダンジョンそのものに隠された巨大な秘密が存在していた。
さらに世間では、《ノクス》と《聖女》がお似合いだと大騒ぎ。
夫も妻もなぜか少しだけ面白くない。
もちろん、その相手が自分の夫、自分の妻だとは知らない。
世界を救えるほど強いのに、愛する人の正体だけには気づけない。
これは、世界最強の夫婦が互いに秘密を抱えたまま、同じ世界を救っていく物語。
文字数 58,535
最終更新日 2026.09.04
登録日 2026.08.28
世界を救うつもりなんてなかった。
黒峰湊は、異世界に転生した瞬間から、あらゆる理不尽をひっくり返せる無敵の力を持っていた。
だが本人は目立つ気などなく、王都グランヴェイルでFランク冒険者としてのんびり暮らし、美人に弱い軽薄な新人を演じていた。
そんな湊が最初に見つけたのは、悪党組織《黒玻璃会》の地下で、人体実験の果てに名前も身体も奪われたエルフの女、リュシアだった。
絶望の底で死すら願えなくなった彼女を、湊はただ一言、「まだ戻れる」と救い上げる。
そこから始まったのは、壊された女たちの逆襲だった。
牙を見世物にされた獣人、歌を道具にされた水の民、誇りを契約書で奪われた鍛冶師、翼を研究材料にされた翼人、悪と決めつけられた魔族、強さだけを売られてきた竜人。
湊に救われ、リュシアに迎えられた彼女たちは、それぞれの部隊を率い、王都の裏側に巣食う五大悪党を侵食していく。
騎士団は彼女たちを新たな脅威と疑い、ギルドは第五勢力として監視し、悪党たちは正体の見えない組織に怯え始める。
けれど誰も知らない。
夜明けの黒翼の中心にいるのが、今日も受付嬢に軽口を叩き、女騎士に「危なっかしい」と説教されているFランク冒険者だということを。
表では弱そうな新人。
裏では絶望を終わらせる男。
彼が本気を出すのは、救った女たちと、大切な者が壊されそうになった時だけ。
悪徳貴族が笑い、奴隷商が人を売り、宗教国家が救済の名で軍を動かすこの世界で、湊の一言は女たちの運命を変える。
「もう、奪われたままで終わるな」。
これは、力なき者が踏みにじられる世界で、救われた女たちが救う側へ変わり、最強の男の隣を奪い合いながら、王都の闇を塗り替えていく義賊ハーレム無双譚。
絶望から救済へ、救済から復讐へ、復讐から新しい居場所へ。
甘く、熱く、時に残酷に、夜明けの黒翼は王都の闇を切り裂いていく。
文字数 492,919
最終更新日 2026.09.03
登録日 2026.06.17
神の記録では、墓守レナトは、生まれた日に死んでいる。
だから彼には魔法も、祝福も、治癒の奇跡も届かない。
神の予言には映らず、天使に名を探されても見つからない。
無籍の死者が眠る墓地で働く彼の前に、ある夜、空を引き裂いて一人の女が落ちてきた。
彼女の名は、シグラ。
神によって魔界そのものを“毒壺”に変えられ、最後の一人になるまで同族を殺し続けた、魔族最強の女。
その身体には、滅びた数百万の魔族の力と、記憶と、最期の声が閉じ込められている。
彼女が人間を見るだけで、心を壊される者さえいた。
それでもレナトは、彼女を恐れるより先に思ってしまう。
綺麗な人だ、と。
「私を匿って、何をさせるつもり?」
「何も。君がいたいなら、いればいい」
勝つか、死ぬか。
それ以外の選択肢を知らなかったシグラは、食事を選べず、眠ってよい時間も分からず、失敗しただけで捨てられると思っている。
レナトは彼女を救済しようとはしない。
復讐を忘れろとも、人を殺すなとも命じない。
ただ、何度でも彼女へ尋ねる。
「君は、どうしたい?」
やがてシグラは、食べたいものを選び、嫌なことを断り、負けても何も奪われない日常を知っていく。
そしてレナトもまた、相手の自由を守ることと、自分の望みを隠すことは違うと知る。
だが神々は、完成した毒壺であるシグラを放置しない。
天使の軍勢。
人間同士を争わせる神託。
子どもたちを殺し合わせる選定院。
地上で再現される、魔界の毒壺。
シグラは正面から世界を破壊できる。
レナトは剣も魔法も弱く、一撃受ければ死ぬ。
しかし、神の法則から外れた〈次元廻廊〉だけが、天使と神を世界の内側へ引きずり下ろせる。
シグラが勝てる状態を、レナトが作る。
レナトが生き残れる道を、シグラが切り開く。
これは、勝つことしか許されなかった最強の女が、勝たなくても残るものを知る物語。
そして神に死者と記録された墓守が、彼女の笑顔のため、世界を支配する五柱の神を一柱ずつ殺していく物語。
神を殺せば、神が維持していた世界も壊れる。
それでも二人は、正しいと決められた未来ではなく、自分たちで選べる明日を望む。
文字数 75,992
最終更新日 2026.09.03
登録日 2026.08.05
文字数 823,231
最終更新日 2026.08.26
登録日 2026.04.11
4
件