結局、低姿勢こそが最強のビジネススキルである

「エラソーな人」「カネで仕事を選ぶ人」はいずれ消える。結局、生き残るのはどんな人?

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「カネ」より大切にしたほうがいいモノとは?

私自身の持つ考え方として、「サラリーマンの初任給程度稼げればなんとかなる」という尺度がある。18万円~24万円といったところだが、元々見栄も張らないし生活費もそれ程かからないため、この額で十分である。よって、仕事を受ける基準もこの額をこの1ヶ月で稼げるかどうか、というものになる。

こうした件については、大物ほど気前がいいというか、大らかというか、細かいところを気にしない。

私は2020年8月のセミリタイアを控えているが、そんな中、自分にとっての「親分」であり「師匠」である博報堂の嶋浩一郎氏から「ファイナルカウントイベント」を開催してもらえることとなった。基本的には嶋氏と私が会いたい人を3ヶ月に1回お呼びし、色々聞き出す、というイベントである。

2月に第1回をやったが、この時は嶋氏と2人でイントロ的な回として開催した。第2回のゲストはサイバーエージェント代表取締役社長・藤田晋氏である。1000人規模、一人5000円払うイベントでも満席にできる人物である。そんな藤田氏が、規模的には110人、入場料は2000円のイベントへの出演を快諾していた。しかも、最近はイベントからは距離を置いていたというのに、だ。同イベントについては、8月と2020年2月も大物に出演依頼を出したが、いずれも快諾いただけた。

ここはカネではないのだ。

「なんか面白そうだから出てみるか」的な判断をお三方がしてくれたものと推察できる。私のイベントに出ることは何のステイタスにもカネにもならない。それなのに受けてくれた「心意気」ってものを、私は一生感謝する。だからこそ、目先のカネに囚われず、一生の感謝を獲得できるような振る舞いを自分も普段から心掛けるべきなのである。

調子が良いときこそ、周りの人に感謝すべき

そして「売れると態度が悪くなる人」になってしまった人物が最悪なのが、自分に依頼をしてくる人間を一段下の人間だと見るようになる点である。

これはフリーだろうが芸能人だろうがサラリーマンだろうが同じなのだが、「自分に対して話を持ちかけた人」のことを「オレ様を動かしたいのであれば、それ相応の好条件が必要なんだよね」的に振る舞ってしまうのである。

本当は人間というものは、自身がより高みに到達するにはお膳立てをしてくれる人やら、協力者の存在が必要不可欠なのに、いつしか自分の努力や才覚だけがその高みに到達させてくれた要素だと考えてしまう。

これは完全に間違いである。

だからこそ、少し調子良くなり、色々な人が「寄ってきた」状態になった時こそさらなる低姿勢を貫き、声をかけてくれた人に感謝すべきなのだ。

それができない場合は、かつて良くしてくれていた人から疎まれるようになる。「ワシが育てた」などと言われている内はその活躍を喜ばれているが、「あいつも最近は付き合いが悪いよな」となったら、恐らく過去の恩人はもうあなたから心を離していることだろう。

そんな状態に陥ったらもう遅い。とにかく、すべての仕事相手を尊重し、その仕事を与えてくれていることに感謝をすべきである。その方が長い目で見れば成功に近づく。エラソーにするのはあくまでも「一瞬の快感」みたいなものでしかなく、意味はない。

 

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プロフィール

中川淳一郎
中川淳一郎

1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。ライター、雑誌編集などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『縁の切り方 絆と孤独を考える』『電通と博報堂は何をしているのか』『ネットは基本、クソメディア』など多数。

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