あなたは、あなた。

「あ、この人と合わない」と思ったときのヒント

2018.09.03 公式 あなたは、あなた。 第1回
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そのままでいい

日々の生活の中で「あ、この人と合わない」と思う人に出会うこと、よくあるのではないでしょうか。これはいたって自然なことであり、特に気にすることではありません。ましてや、そう思ってしまう自分を責める必要もまったくありません。人によっては、どうにか接点を見つけて仲よくする方法を見つけようと必死になり、悩む方がいらっしゃいますが、悩む必要などないのです。

結論を言うと、「あ、この人と合わない」と思ったら、「合わない」ことを認め、「やっぱりこういう人とは私は合わないのだ」という感じで、その思いを受け流し、気にしないで下さい。

あなたが「この人と合わない」という判断をするまでには、さまざまな経験をされてきたことだと思います。人との付き合いの中でいろいろなことを感じ、学び、時には相性が合わないと思った人と、あの手この手を使ってどうにか仲よくしようと取り繕ってみたり、いろいろな試行錯誤という名の苦難もあったことでしょう。それを、わざわざ蒸し返して苦しまなくても大丈夫です。

「この人とは合わない」と思ったら、そのときはその思いに抵抗するのではなく、素直に受け止めて、適当にお付き合いすることです。つまり、その人のことを考えすぎないようにするのです。抵抗するとそれだけエネルギーが浪費され、疲れるだけです。そんな状況は、あなたの貴重な時間とエネルギーがもったいない。

誰にでも自分と相性が合う人、合わない人がいます。少しご自身の過去を振り返ってみて下さい。学校、職場、近所付き合いなど、いろいろな場所や環境を転々と移動しても、合わない人がなぜか出現してしまうことはなかったでしょうか。どこに行っても、どうしても自分が嫌でしょうがない人や環境・状況に巡り遇ってしまう、不思議なことも何度か体験されているはずです。

実はこれは世界中の誰しもが例外なく当てはまることであり、紛れもない現実です。ですから、「この人と合わない」と思う自分自身に対し、否定的な感情を持つ必要はありません。「合わない人」だと思ったら、「これは仕方がないことだ」と気持ちを切り替えて、その人のことに気を回さないようにしましょう。あなたの貴重な時間と体力はもっと大切で前向きなことに使ってあげて下さい。

ただ、そうはいっても仕事などの諸事情によって、どうしても付き合っていかなければならないこともあるでしょう。

その場合は、自分である程度、自分自身に負担のかからない付き合い方や接し方を準備しておくといいでしょう。つまり予防線を張るということです。そうすると気苦労も軽減されます。

大切なことは「無理をして取り繕う必要はない」ということです。人の好き嫌いなどの好み(判断)というものは、これまでの私たちのさまざまな経験が蓄積されて作り上げられた「ものさし」です。

正直に言うと、その「ものさし」にはあなたの偏見が含まれていることは否めませんが、長年たくさんの苦労を経験してきて形成されたものですので、その意味では、もう今さら変えることのできない自分の考え方、見方、価値観など、自分にはどうしようもないものもあるでしょう。

しかし、それはそれでいいのです。自分の「ものさし」を大切にして下さい。それを無理に変えようとせず、「よし」として下さい。大切なのは、そんな自分とうまく付き合っていくという心の持ち方なのです。

必要な時がくればその「ものさし」は変化することもあります。ですから無理に変化させようと思う必要はありません。それよりもその「ものさし」の使い方のほうが大切なのです。

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

1982年、山口県生まれ。僧侶でありながら講演や執筆、通訳や仏教家関係の書物の翻訳なども手掛け、活動の場を幅広く持つ僧侶。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。

ビジネスマンの悩みを仏教の観点から解決に導く著書『端楽(はたらく)』や、英語に訳せない日本語の奥深さを解いた『訳せない日本語』(ともにアルファポリス)が好評のほか、国内外を問わず仏教伝道活動を広く実践している。

著書

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