あなたは、あなた。

素直に「ごめん」と謝れないときは、行動で示せばいい

2019.04.01 公式 あなたは、あなた。 第15回
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謝れないのは悪いことではない

人間は、特に大人は、どんなときでも素直に「ごめん」と言えたら、どんなに楽でしょうか。これは誰もが一度は思ったことがあるでしょう。

親子ゲンカや兄弟(姉妹)ゲンカをはじめ、いろいろな事情があるにせよ、何か自分に非があるけれど、なかなか「ごめん」と言えないことはよくあることだと思います。

自分に非があることに対して、何事にも「ごめん」と素直に謝るという行為は、子どものときにはできていたことが、大人になるにつれてできなくなってきたことの一つではないでしょうか。

もしこうした問題でモヤモヤ悩んでいる方がいるのであれば、もう悩まなく大丈夫です。あなたは、その「謝りたい」と思っている気持ちを持っているだけで十分なのです。まずは、その気持ちを持っている自分自身を大切にしてあげて下さい。これこそが、あなたの優しさと誠実さなのです。

しかし、子どもの頃は何の抵抗もなく謝れていたことが、どうして大人になるとなかなかできなくなってしまうのか、不思議に思う人もいるでしょう。

その理由は簡単です。それは、子どもの頃のあなたと今のあなたとでは、さまざまなことを経験して培ってきた判断力が違います。これは経験値とも言い換えることができますが、さらに別の表現をすればプライドです。このプライドは、その人にとっての勲章でもあるので、どうしても他者の意見を素直に受け止めるということを拒んでしまうのも無理はありません。

ときには、自分の非を認めず反論する姿勢をとる方もおられるでしょう。それは一見頑固と受け取られがちですが、逆を言うと「守るべきものがあるほどのことを必死にやってきた証拠」でもあるのです。もちろん頑なに自分の意見に固執する必要はありませんが、頑固さというのは、基本的にはある程度は必要なものだと私は思います。

だからこそ、謝れないことで悩んでいるというのは、実はとても素晴らしいことなのです。なぜならば、それはあなたが大事なプライドや勲章を一旦忘れ、自分の非、いわゆる未熟さを認めるという、勇気が必要な行為をしていることになるからです。

どうかそんな勇敢なあなたを褒めてあげて下さい。

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プロフィール

大來尚順
大來尚順

1982年、山口県生まれ。僧侶でありながら講演や執筆、通訳や仏教家関係の書物の翻訳なども手掛け、活動の場を幅広く持つ僧侶。龍谷大学卒業後に渡米。米国仏教大学院に進学し修士課程を修了。その後、同国ハーバード大学神学部研究員を経て帰国。

ビジネスマンの悩みを仏教の観点から解決に導く著書『端楽(はたらく)』や、英語に訳せない日本語の奥深さを解いた『訳せない日本語』(ともにアルファポリス)が好評のほか、国内外を問わず仏教伝道活動を広く実践している。

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