何でも欲しがる妹に婚約者を譲った結果
「 私、ジュリアン・フォン・ハーヴェイは、そこにいるエルザ・ヴァルハイト男爵令嬢との婚約を、今この瞬間をもって破棄する!」
会場が一瞬静まり返り、次の瞬間、波のようなざわめきが広がった。
公衆の面前での断罪と婚約破棄。令嬢にとって、これ以上の屈辱はない。社交界で一生日陰者として生きていくことを強制される、社会的な処刑だ。
ジュリアンはエルザの顔に浮かぶであろう絶望、泣き顔、すがりつく惨めな姿を期待して、ニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべてエルザを見つめた。
「さらに! 私は真に心優しく、私を支えてくれる才能を持ったクロエ・ヴァルハイト男爵令嬢と新たに婚約することをここに誓う! エルザ、お前のような不徳な女は今すぐ我が領地からも、王都からも出て行け! 二度と私の前にツラを見せるな!」
クロエはジュリアンにしがみつき、「ジュリアン様……私、私……! エルザお姉様が可哀想ですわ……でも、ジュリアン様のお傍にいられるなら……!」と涙ぐむ演技をしてみせた。
誰もがエルザの悲鳴を待っていた。
崩れ落ち、ジュリアンの足元にすがりつき、「お許しください」「婚約破棄だけはご勘弁を」と乞う姿を。
だが。
エルザは、すっと背筋を伸ばした。
猫背気味だった肩を開き、伏せられていた長い睫毛を持ち上げる。
露わになった彼女の瞳は、濁りのない透き通った藍色の光を宿していた。
「……承知いたしました」
エルザの静かな声が、静まり返った会場に響き渡った。
会場が一瞬静まり返り、次の瞬間、波のようなざわめきが広がった。
公衆の面前での断罪と婚約破棄。令嬢にとって、これ以上の屈辱はない。社交界で一生日陰者として生きていくことを強制される、社会的な処刑だ。
ジュリアンはエルザの顔に浮かぶであろう絶望、泣き顔、すがりつく惨めな姿を期待して、ニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべてエルザを見つめた。
「さらに! 私は真に心優しく、私を支えてくれる才能を持ったクロエ・ヴァルハイト男爵令嬢と新たに婚約することをここに誓う! エルザ、お前のような不徳な女は今すぐ我が領地からも、王都からも出て行け! 二度と私の前にツラを見せるな!」
クロエはジュリアンにしがみつき、「ジュリアン様……私、私……! エルザお姉様が可哀想ですわ……でも、ジュリアン様のお傍にいられるなら……!」と涙ぐむ演技をしてみせた。
誰もがエルザの悲鳴を待っていた。
崩れ落ち、ジュリアンの足元にすがりつき、「お許しください」「婚約破棄だけはご勘弁を」と乞う姿を。
だが。
エルザは、すっと背筋を伸ばした。
猫背気味だった肩を開き、伏せられていた長い睫毛を持ち上げる。
露わになった彼女の瞳は、濁りのない透き通った藍色の光を宿していた。
「……承知いたしました」
エルザの静かな声が、静まり返った会場に響き渡った。
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