ペルス・ネージュの咲く頃に~売られた令嬢と銀嶺の守護者~
北の果てで少女を待っていたのは、不器用で優しい愛だった――。
地主の令嬢として何不自由なく育ったイザベルは、父の急逝を機に没落し、騙されて北の宿場町に売り飛ばされてしまう。危ういところをトリスタンと名乗る青年に救われるが、彼に命じてイザベルの身柄を押さえたのは、密輸団の首領ディミトリだった。『北の熊』と恐れられるディミトリは、彼女を破格の対価で買い取り、山深い北国の隠れ家へと連れ帰る。
ならず者たちの巣窟で怯えたのも束の間、心優しき美女オルガや朗らかなトリスタンに世話を焼かれ、イザベルは持ち前の負けん気で逞しく居場所を作っていく。そして、そんなイザベルをディミトリは遠巻きに庇護するのだった。過去に傷を抱える大人たちの争いに巻き込まれながら、イザベルはいつしかトリスタンと心を通わせていくが、深い雪の下には彼女自身にも関わる秘密が眠っていた。
春を告げる白い花が咲くまでに、イザベルは自分がこの地に囲われた理由に辿り着き、ここでの日々に意味を見出すことができるだろうか。
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