風の行き先
母方の祖父母の元で育てられた冴島たまき。
新たな土地で友人や後輩に囲まれて幸せに暮らしていたものの、心の奥には、無意識の寂しさを抱えていた。
そんなたまきの日常を変えたのは、中学最後の文化祭で出会った十二歳年上の男性、海風梧だった。
初対面のはずなのに、梧はたまきを見つけると、こう言った。
「ここにいたのか、ハル」
聞いたことのない名前。
けれど、「誰?」と問いかけた途端、寂しそうな表情を浮かべた梧を見たたまきの胸は、理由もなく苦しくなった。
やがて、部活の後輩・霜槻紫露から、ハルとはたまきの前世であり、梧にとってかつて大切な人だったことを知らされる。
前世の記憶などない。
自分が本当にその「ハル」なのかもわからない。
それでも、たまきは不思議な縁に導かれるように、かつてのハルを知る人々と出会っていく。
自分には覚えていない「再会」を重ねるたび、たまきの中にあった寂しさが、少しずつ形を変えていく。
そして、前世では結ばれなかった二人は、今度こそ同じ時間を生きることができるのか。
これは、過去の記憶を取り戻す物語ではない。
失ったものを抱えながら、たまきが自分自身の人生を選び直していく物語。
そして――
「ハル」ではなく、「たまき」として。
もう一度、あなたを好きになる物語。
※ほとんど年齢制限をするほどの描写はない予定ですが、今後、一部でR15程度の表現が出て来るであろうと想定したため、指定しています。
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