「世界から逃げようと思ったけど、人生ごと拾われるとは思いもしなかった」


 王家は呪われていた。
 精霊の怒りを買ったのだ。

 それは傲慢な王子が精霊王の娘を妻にしたいと無体を働いたせいで。
 王家は血筋を残せない呪いを受けた。
 けれど唯一、月の精霊だけは慈悲をくださった。
 同じ精霊の加護を受ける「愛し子」とならば血を残せるように。
 そして精霊の愛し子が見つからない世代は。
 また月の精霊の慈悲にすがった。

 この世界にいないなら別の世界から――せめて同じように精霊に愛されながらも、哀れな存在を、不遇な立場にあるものをこの世界に招くことにした。

 優しい月の精霊は、せめて不幸な子を助けるためならと、その世界越しの誘拐を許された。

 そうした今回の愛し子は――……。
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