「お前」としか呼ばれない婚約者でしたが、婚約破棄の夜、北の辺境伯が初めてわたくしの名前を呼びました
「お前との婚約を破棄する。便利なだけの女だ」
10年間、王太子の隣で見えない実務を担ってきた公爵令嬢エレオノーラは、夜会の場で、身に覚えのない罪を理由に婚約を破棄されます。
反論すれば、毎年冬に北の砦へ荷を送ってきたことを明かさなければなりません。王太子の名を使い、自分の私財で、5年間ずっと隠してきたことを。
そのとき、北の辺境伯が口を開きました。
「その刻限、この方は兵站倉におられた。私がこの目で見ております」
毎年倉の前で短い言葉を交わすだけだった彼は、5年前から、彼女の名前を知っていました。
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反論すれば、毎年冬に北の砦へ荷を送ってきたことを明かさなければなりません。王太子の名を使い、自分の私財で、5年間ずっと隠してきたことを。
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