初夜の指南役に、王太子殿下が本気になってはいけません
王立指南院の筆頭指南役リュシアンの仕事は、婚礼を控えた王族の男子に閨の作法を教えること。客の顔は覚えても、名前は覚えない。客に本気になったことは、8年間一度もない。
そこへ現れたのは、婚礼まで30日の王太子レオンハルト。手順書を求める彼に、リュシアンが最初に出した課題は「花嫁の名前を、私の目を見て呼ぶこと」だった。
人に命令しても、見られたことのない王子。人を見ることを教えても、自分は誰にも見せない指南役。教える者と教わる者の一線は、婚礼の日が近づくにつれて揺らいでいく。
けれど、王太子には異国の王女という婚約者がいて、指南役は売られてきた身。結ばれる道など、どこにもない――はずだった。
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