Notre-Dame

クレマチスは様々な事において人より恵まれていた。
大司教を父に持ち、幼少期から優秀な家庭教師によって十分な教育を受けることが出来た。加えて見るものを吸い込むようなエメラルドグリーンの瞳に、顔立ちの端正さは絶世の美少年と讃えられた当時の曽祖父に匹敵する。
天に二物も三物も与えられた彼女には、しかしひとつだけ、余計なものも与えられていた。それを仮に「千里眼」と呼ぶことにしよう。
「千里眼」とは一般に遠く離れた場所の景色や出来事を見ることができる能力として知られているが、中には未来のこと、果てには人の心を読み取れる者もいるそうで、クレマチスはまさにその果てにあたった。
稀有な能力を持ったばかりに、平穏な人生を送れぬと知った哀れな少女の物語。

【注意】存在しない用語だらけです。
【重複投稿について】小説家になろうさんでは分割多めで載せる方針なので読みやすい方を読んでください。
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