衣川に、静かな花は咲く
兄・頼朝に追われ、奥州平泉へ落ち延びた源義経。その傍らには、最後まで忠誠を誓う武蔵坊弁慶がいた。ある秋、弁慶は道端で踏み折られた「いきくさ」と、父を失った少年・三郎に出会う。
折れても根を張る草を館へ持ち帰った二人は、いつか花が咲いたら、その前で笛を聴こうと約束する。
しかし鎌倉の圧力は日ごとに迫り、静かな衣川にも運命の朝が訪れる。
「静寂」「静穏」「穏やか」「やさしい心」「信じて従う」――ベンケイソウの花言葉を、弁慶の剛勇の奥に秘めた優しさと、主従を越えた義経への信頼に重ねて描く歴史短編。
生きること、守ること、そして信じること。
倒れてなお伝説となった男が、未来へ託した本当の強さとは――。
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