『さよなら』の翼 ~空色の未来に、この想いを~
『ガキが二人、泣いてんだ! 晴れた空が、未来が見たいってよお!』
※原本完結済み
●
不慮の事故によって家族を失った中学生、笹倉芳人は引き取られた親戚の家で厄介者扱いをされ、学校では虐められて過ごしていた。
そんなある日。
神社の境内で、神体と名乗る「桔梗」と話をし境内を出た芳人は異世界に召喚される。煩わしい世界、現実に絶望さえ感じていた中で、芳人は僅かに気力を取り戻す。
だが。
異世界は、芳人にとって日本の延長でしかなかった。
●
四人の召喚予定が五人召喚されたことに首をひねる聖カルニアス国王立ち合いの元、全員のスキルやステイタスを鑑定され、その結果は芳人の期待を大きく裏切っていた。
破格の戦闘スキルや魔法適性を持つ他の四人とは違い、固有スキルや特殊能力が何一つ見いだせない芳人は魔力量が高いただの一般人と見なされてしまう。
●
芳人が召喚される際に、結界の外の異変に気付くのが遅れた桔梗が放った護り刀「月代」を身に宿す遥人に内包された神力はこの世界では桁外れなものであった。
が、この世界の魔法やスキルを発動させることができない芳人は孤立していく。
そして芳人が特殊能力を使えない理由には訳があった。
芳人を召喚したのは聖カルニアスでなく、異世界コルトレシアの女神ユーチェであり、その女神の手によって全てを封印されていたのだ。
召喚されて一か月後。
魔王討伐パーティー不適格の烙印を押された芳人は紆余曲折のすえ、城を追われる。
夜を彷徨う中、魔獣に襲われ息も絶え絶えの中で芳人は女神ユーチェによって助けられる。だがその窮地も、コルトレシア召喚も全ては仕組まれたものだった。
ユーチェは「力を与えるから魔王を封印してほしい」と芳人に言い募った。魔王エルフェルナはユーチェの妹分で神であったが、主神の意思に逆らい堕天していたのだ。
そして告げられた方法は、芳人を魔王にして成り代わらせる為の策であった。だが、うさん臭さを感じた芳人は逆取引きを持ちかける。
『条件がある』
●
芳人は、交換条件として自らに秘められた神力を解放する方法を聞きだし、その結果自らの知識とイメージを盛り込んだ『概念の魔法』によって、魔王領を封印する事に成功する。だがその結果は、ユーチェの願いとはかけ離れていた。
芳人を裏切り者とみなし、排除しようとする女神。が、桁外れの魔力と芳人の使う「概念の魔法」の脅威に沈黙していく。
●
二年後。
新たな目的の為、自らが封印した魔王領の森に居を構えて研究に没頭する芳人は、魔王エルフェルナと再度邂逅する。
絶望を抱えた芳人とエルフェルナの最後の一ヶ月が、今始まる。
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