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第十二章 自身の勘は信じろ(ただし真波 御影は除く)
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しおりを挟む「......やっぱおかしいだろ。なんで教師が生徒と一緒の部屋で寝てんだよ」
「なら真波先生と別室で寝ますか?」
「やっぱ生徒との交流は大事だよナ!これを機に仲を深めるのもアリな気がしてきた」
折れる勢いで手の平を返すモッチー先生はいっそ清々しい。兎君、反面教師にするんだよ?こんな大人になってはいけない。
と、まぁ.....ウーちゃんと猫又先輩以外はみんなこの部屋にいる。しかも寝る準備万端という....。
宮野君もとい、フー君と話していたらすっかりいいお時間に。その頃には身体もなんとか動かせるようになっていたから、部屋のシャワーで本日の汚れと疲れを落とし、諸々の支度を済ませて部屋に戻ると.....みんな揃っていた。
寝床もどうしてか決まっていて、僕はモッチー先生とケーキ君の間に。私物まで置いてここは僕の寝床ですアピールしていたのに、ちょっと不在にしただけで一瞬で角ポジを奪われた僕の心情を述べろとモッチー先生の胸ぐらを掴んで問い詰めてやりたい気分だ。
「.....TEMのデータ絶対に消去する」
「きゅ、急になんだよ。腹でも痛いのか?」
「それはお腹痛くなったら先生のゲームデータを消去してもいいという意味と取りますが?」
「ぐっ、あのな?さすがに俺も生徒に挟まれて寝るのは嫌なんだよ......わかってくれ」
僕が不機嫌な理由を察していながら、見当違いなことをわざわざ言うのやめたらどうです?
......はぁ、先生の言い分も理解出来るものだからここは許してあげよう。というか普通に訳を話してくれれば譲ったのに、どうしてそう卑怯なことをするのか。
性根が腐ってるせいかな?
「なんかすっげー侮辱されたような気がするんだが??」
「気のせいですよ」
納得いかないような顔をした先生に睨まれるも何処吹く風。僕が何も言うつもりがないのを察したのか、先生はため息を着くと布団に突っ伏した。
あ、そうそう。角ポジのことは許したけど、雪崩の時僕を見捨てたのは許してないから。だからTEMのデータは絶対消します。
と、言おうとしたけど.....考えてみれば僕がモッチー先生を騙すような形で呼んで無理やり引率を押付け、そして雪崩に巻き込まれるって相当可哀想だよね。
そう考えるとデータ消去を伝えるのは酷な事だと感じる。
「.....旅行が終わった後に伝えましょうか」
今伝えるのはやめよう。え?そこはデータ消さないでおこうって??
嫌だよ。僕の気が済まない。
「電気消すぞ~」
真波先生の声と共に灯りが消える。次いでドスンと重いものが倒れる音と、カエルの潰れたような悲鳴がほぼ同時に上がった。
「え、どうしました?」
「あ~.....足元見えないせいで先生がコケた。んで文貴と芙幸が潰されたっぽい」
ケーキ君からもたらされた情報に後悔が広がる。
あのヒキガエルみたいな声は文ちゃんとフー君??何それ録音しとけばよかった。どうして僕はスマホの録画をしてなかったんだ。
「ちょっと先生!?重いんだけど~!」
「うぅ''、自分の口からあんな声が出るなんて....恥ずかしい」
「あれ?なんでオイラのスマホ録画してんすか?うーん間違えて押しちゃったんすかねぇ」
「田噛君、私と少しお話しようか」
「いてっ!?御影先生今俺の足踏んだぞ!?」
「すまん湊都!.....そういや俺の寝床はどこだっけ」
「モッチー先生の横空いてますよ」
「っ、おい一条!嘘言ってんじゃ――」
「そっちから俊樹の声が聞こえるってことは....俺の寝床もそっちか」
「馬鹿っ、こっち来んな!!」
「うぉ!?!?」
「――痛いっス!?」
「ぅ''おえ''っ」
「....?なんだ?ウトウトしてたらなんか背中にのお''っぶっ」
「ん?誰の頭だこれ」
「瀧宮ーーっ、おい瀧宮の頭を支えに立つんじゃねぇ!」
「その声は登坂か?ちょっと俊樹のところまで連れてってくれ....これ以上は誰かを踏んづけそうだ」
「もう既に踏まれたッス.....」
あっはっはっはっはw
阿鼻叫喚。それぞれがスマホの光で真波先生を援護しようとするけど、「眩しっ」と言って真波先生がよろめき被害が広がる。
「あ~ぁ~、騒がしw」
「こういうのいいですねぇ。もっと混沌に落としたくなります」
「うん?......燈弥、お前何持ってんの」
さて、僕の手には程々の硬さの枕があります。
これを振りかぶって~
真波先生の介護をするトサカ君目掛け.....
投げる!!!
─────ボカッ!!
「ぐふっぇ!?!?」
そして素早くしゃがみ込み、スマホでケーキ君をさりげなく照らす。
「い''って.......浪木ィィィ!!」
「なんで俺うえ''ぁっ」
「避けんな!!」
「いや避けるだろ!?!?」
トサカ君によって投げられた枕をこっそり拾い、まだ状況が理解できてなさそうな兎君目掛け投げつける。
「ぶふぉっ!?......よっしゃ枕投げ大会だーーーーーーーーーーーっ!!オラオラオラァ!」
はいカオス
暗闇でやる枕投げ大会とか悲劇しかないよね!
僕も逃げ場がないから参加する。主に撹乱と擦り付けを目的に枕を拾っては投げ、拾っては投げ.....押し入れにあった枕を追加で投入。
「可愛い湊都に攻撃する不届き者は誰だー!僕が成敗してくれる!!」
「おぉい!?誰だ後ろからっ」
「あっ、芙幸に当たった!?わりw」
「ぷぷぷw宮野裏切られてやんのwざまぁっス」
「風紀の恨みぃぃ!くたばれこの馬鹿!!」
「え、異能は禁止??なぁんだ残念」
「文貴が異能使ったら死人出るだろ」
「なんでっ、俺はガキと枕投げを.....!?ぐぅぅぅ、こういうゲームは苦手なんだよぉオラ!!」
「なんか俺の後ろ誰かいる????背後からめっちゃ枕投げてんだけど誰??」
「あっはははははははwポルターガイストww」
ダメw笑かさないでww
心霊現象まで参加する枕投げってなにw
とまぁ枕投げをめっちゃエンジョイ。
枕投げが終わったのはそれから数分後。雪崩もあったし皆疲れてたんだよね。
まず、枕に当たって布団に沈んだ兎君。数秒も経たずに爆睡。それに気づいたフー君が兎君の横を陣取り就寝。
それを皮切りに次々と布団に倒れていった。
もう寝床とかくちゃくちゃ。
結局は僕以外が全員寝た。このくちゃくちゃの寝床をスマホのフラッシュで撮影して保存。旅行の記念だ大事にしよう。
と、そういえばヒナちゃんに連絡してなかったなぁ。
『修学旅行(笑)』
写真添付
よし。
─────ピコン
返信早っ
『楽しそうでなにより』
おっ?この反応はアレだな?トサカ君から色々情報が入ってる時の反応だな??
いつもなら連絡が遅いだの、何があったんだだの五月蝿いのに。
─────ピコン
『怪我なく俺のとこ帰ってこいよ』
んぐ.....こういうとこ可愛いんだよなぁ彼。健気というか真面目というか.....。
元気いっぱいの姿をヒナちゃんに見せるためにも僕も寝よう。
おやすみ
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