八尋学園平凡(?)奮闘記

キセイ

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第7話 交流会始まるってよ

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に゛ゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!


「っに゛ゃぁぁぁぁぁぁああああ!?」


に゛ゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁ!!


ガチャんっ

し、心臓痛てぇ。
.....誰だよ!こんな目覚ましセットしたやつ!?

俺か?.....俺こんな音にセットしたっけ?

はぁ、もういいや起きれたし。でも猫の怒った鳴き声は心臓に悪いよ......。心臓今もバクバクしてる......。

少し深呼吸し、心臓を落ち着けさせスッキリした頭をボリボリ掻きながら洗面所へ行き支度をする。
今日はいよいよ交流会当日だ。
俺なりに自分が隠れるエリアをこっそり下見し見つからなさそうなところをいくつかピックアップした。

え、やる気あることに意外だった?

俺狙ってるからね?金券。
願いは勿論一週間外泊です。この腐った学園以外の新鮮な空気を吸いたい......切に願う。
夏休みになればこの学園から出られるんだろうけど、俺はそこまで待てない。
腐男子の腐れ猥談で、脳が麻痺してるんだよ。このままだと死ぬ。精神が。


今日は制服じゃなくて学校指定のジャージを着て登校する。
寝室の姿見に映る俺は真新しいジャージを纏っていた。

そう、おニューのジャージです。前のジャージさぁ乱闘に巻き込まれて血みどろになったんだよね。

冗談はさておき.....実はなくしたんです。ジャージを。

俺さ結構持ち物大事にしてるんだ。シャーペンとか中学から使ってるやつだし、ジャージだってちょっと破れたところとか自分で縫って使ってるし、弁当箱も傷つけず綺麗に使ってるし......。

だけど今挙げた例のやつ全部もう手元にないんですよねぇ。おかしいなぁ。不思議だなぁ。

弁当箱とか買っても何度もなくすから購買で昼飯買うようにしたし。ジャージなんて何回買ったか....。

俺、フラフラ歩いて適当な所で昼寝したりするから、もしかしたらその時毎回その場に忘れて行ってるんじゃないかと思ったんですよ。

だから色々と気を付けてたんだけど、やっぱなくすんですよね。体育後フラフラぼーっとして、寝て起きる。そして寝起きの頭で教室に戻ると手には何も持っていないという。
頭がスッキリするまで待ったときは大丈夫だったから、きっと寝起きの俺は注意力散漫なんだと思う。
最近は頭がスッキリするまでその場から動かないというのをやってたんだけど、偶に物をなくした。
......もういいやってなったね。なくしたらなくしたで知らんと。


寝てる俺から盗んでるかもしれない?
それはない。俺のものを盗むメリットってなに?って話になるし。
まず第一に、俺気配に敏感だから寝てても人の気配で起きちゃうんだよ。だから寝てる俺から物を盗むなんて不可能だ!
これは胸を張って言える。

その気配察知能力のお陰で、寝てる俺の服を脱がそうとする悪鬼を何度撃退できたか。寝たフリからの膝蹴りで逃げてます。.....あの悪鬼は何がしたいんだろうね?


「それにしても憂鬱だなぁ。」


てるてる坊主逆さまに吊るしたんだけど効果なしかぁ。見事な晴天だよ。
やるからには金券欲しいけど、やらないという選択肢があったら俺はそれに飛び付くね。

時間になったので部屋を出て、体育館へ向かうが、まだ周りに人は誰もいない。チェス駒持ちである俺は早めの召集をかけられているのだ。だからこの時間に人に会うことは無いだろう。

体育館に行くと王道君を含め結構集まっていた。


「あっ、遅いぞ未途!!」

「ごめんごめん。ちょっと用意に手間取って。」

「むっ、謝ったから許す。」

「はぁーっ!もしかして昨日は遅くまでお楽しみでしたか!?もしそうならkwsk!でびゅら!?」

「アッ、ゴメン。テガスベッター」

「見事な棒読みっ!!やはり腹黒なのか!?」


こいつ復活早ぇ。このしぶとさ、ゴキ〇リ並だな。


「どうやら全員揃ったようですね。では名前持ちの皆様、それぞれ衣装に着替えて舞台裏に集まってください。」


俺達がじゃれあっている間に全員揃ったようで、副会長が指示を出した。

というか、今衣装って言った?え、着替えんの?
せっかくジャージ新調したのに?

俺は内心混乱していたのに対し、他の皆さんは特に疑問を持たず衣装を受け取り着替えに行った。
俺がおかしいのか?
ハチマキだけだと思ってたんだけどなぁ。めんどくさい。

取り敢えず俺も衣装を受け取り体育館にある個室の衣装部屋(なんでそんなものがあるんだ?)に向かった。


嫌な予感を胸に受け取った衣装を見ようと広げた時紙がヒラリと地面に落ちた。
なんだ?と内心思いながら拾い読むとー

『衣装 ビジョップ
ジャージを脱いで着て下さい。その際腰布を必ずつけること。パンツ不可。』

......パンツ不可?
パンツ不可????


「パンツ不可っ!?」


え、どういうこっちゃ!?
パンツ脱げと!?ノーパンで着るのこれ!?

ビジョップの衣装はどこかファンタジーな神官服を思わせるような見た目をしていた。
ただ1つおかしい点を挙げるとすると、太腿から足元にかけてスリットが入っていることだ。


「おま、これは神を冒涜するような衣装じゃねーか。なんというチラリズム。.....神はチラリズムを許すのか?」


.....思考がぶっ飛んだ。

この衣装、女性が着ればさぞ魅惑的だろう。だが着るのは男だ。しかもノーパンの。
まぁ腰布があるからいいけど。

.....やっぱパンツ履いちゃダメ?
腰布だけじゃ心もとないんですけど。
だってこの腰布微妙にうっすいし、風呂の時腰に巻くタオルですか?って聞きたくなるような見た目やし。

......パンツ履こ。
誰やねんこの衣装考えた奴は。見た目はいいかもしれんけど着心地最悪だわ。

唯一の救いがあるとすれば、それはスリットが右側しか入ってないというところだ。これが両方だったら俺歩けないね。なんならパンイチの方がマシと思える。

渋々神官服のようなものを身につける。パンツ?履いてますよ。だけど一応パンツの上に腰布を巻く。

なんだかなー......。
鏡を見ると何とも言えない顔をした平凡顔がこちらを見返していた。
白の神官服は俺を清廉に見せ、金の刺繍がその清廉さに威厳を加える。
だが、右のスリットをペラリとめくると、不健康な生白い脚と腰布が見えた。

パンツ脱いでこれ着るやつ居るん?


俺は一旦思考を放棄して副会長に言われた通り舞台裏に向かった。


「あ!未途やっと来たー!!」

「あっぶな!?」


鉄砲の弾丸の様に突進してきた王道君らしき人をすんでのところでかわす。ぶつかってたら病院送りだよ俺。王道君は少し加減を覚えて欲しい。


「ぉう、すごい衣装だね。」

「へへへっ!未途も似合ってるぞ!」


その言葉は聞きたくなかった。正確に相手の心臓を抉りに来るとは流石は王道君。
そんな王道君、ルークの衣装はシンプルな黒のTシャツで、真ん中にデカデカとルークの駒がプリントアウトされていた。下はダボッとした感じの黒のズボンで白のストライプがチョロっと入っている。

衣装というより普段着じゃんこれ。
ルーク担当とか言ってたおっちゃんがデザインしたのかな?こう、手抜き感が.........。

おっちゃんさぁ、王道君にルーク引かせてまで着せたかった服がコレかよ。やはりおっちゃんの心は迷路のように複雑なんだな。

ぶっちゃけこの神官服よりそっちの方が断然いい。交流会終わったあとでも寝間着として使えそう。いや、俺なら使うな。


「因みにさ、パンツ履いてる?」

「?何言ってんだ?あたりまえだろ。」


ぐっ!王道君にそんな目で見られるとはっ(吐血)
違うんです。変態じゃないんです。そんな目で見ないでください。


「おぉ!!設楽君エロい衣装だねぇ。スリットとは製作者のこだわりが感じられるっ。これはもう手を突っ込むしかないでしょ!?そっからっ、って危な!?」

「オットー、マタテガスベッター」


チッ、避けられたか。転がるように避けた三津谷を見る。.......いい衣装じゃないか。
三津谷、ポーンの衣装は兵隊みたいでカッコ可愛い。なんかくるみ割り人形の衣装に似てる。
三津谷のくせに似合ってるじゃないか!


「三津谷さ、もしかしてノーパン?ノーパンだろ。いや絶対にノーパンだ。」

「なんでそんなノーパンを推してくるの!?ちゃんと履いてるからね!」


クソっ、履いてるのか....。
まじでビジョップだけなのノーパンって。

同じ学年のもう1人のビジョップに恥を忍んで聞いてみることにした。


「ねぇ、この衣装さ心もとないよね.....下半身が。」

「?そうかな?男版チャイナ服って感じでかっこいいと思うんだけど。」


あれ?
あれれ?おかしいなぁ~。
俺の見間違いじゃなきゃ、この人の右に入ってるスリットと俺のスリット深さが違うように見えるんだけど?

俺はガッツリももの上ら辺からスリットが入ってるのに、この人のは膝ちょい上から入ってるように見える。
錯覚かな?

.......うーん錯覚じゃないねぇ。


「あのさ、最後に聞くけど、パンツ履いてる?」

「ぇ?」

「あっと!ごめん今のは言い間違え!!スパッツ履いてる?って聞きたかったんだっ!!あははははははは、は.....」


結果、パンツ不可なの俺だけらしい。
おかしいだろ!?
これでパンツ脱いでここ来てたら俺だけ完全にノーパンの変態野郎じゃねぇかっ!!

見た!?あの子の変態を見るような目っ
俺初めてあんな視線向けられたんだけど!?

うぅ、こ、心が痛い。


「皆さん着替えましたか?」


白いマーメイドドレス(!?)を優雅に着こなししゃなりしゃなりと歩いて来たのは副会長だった。優しく微笑む副会長が一瞬女神に見えてしまったので、早急に金券が欲しい。

.....あんなん走れないじゃん。


「良さそうですね。では最後にハチマキを。」


副会長は『ハチマキを』と言った。それなのに、俺に渡されたのはハチマキという名の烏帽子だ。

はい!おかしいね!!

なんで西洋風の神官服に和の烏帽子なんだよ!?
ってかハチマキ寄越せや!

胸の内に毒を吐きまくりながら表面上文句を言わずに被る。
もう1人のビジョップを見た。
烏帽子に不満などないというような堂々とした佇まい。

神官服と烏帽子の組み合わせが微妙に合ってるのが腹立つっ!!

これはこの衣装をデザインしたやつのセンスを褒めるべきなのか?
だがまず俺は製作者にビジョップに恨みでもあるのか?と聞きたい。


くっそ恥ずかしい.....!

常識人である俺には荷が重すぎる格好だ。
色々と受け入れられない!


「では間もなく時間ですので。自分の学年位置に戻ってください。」


この格好で行くのかぁ。
他の人達は副会長の言葉に従って舞台裏から続々と出ていった。
俺は普通に歩くことさえ恥ずかしく思ったので小股であとをついて行く。
なんか後ろで王道君に副会長が絡んでいたが、俺は歩くことに必死でその場面は見れなかった。

だけど、三津谷のキショい奇声が聞こえてたから見なくて正解だったのかもしれない。
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