気象指揮官 ウェザーコンダクター
天鬼が空模様を左右する世界で、農民のナマリは両親と幼い弟妹、それから気のいい村人たちと力を合わせて貧しいながらもおだやかな暮らしを送っていた。
そんな日々が崩れたのは突然。
見たこともないほどの天鬼が空に集まり、生まれた暗雲が大量の雨を降らせ、濁流となって村を押し流してしまった。
弟妹を抱きしめてどうにか耐えるナマリは、空をにらみ無力な自分を呪いながら叫ぶ。
「散れ!雨雲なんて散ってしまえ!」
精いっぱいの叫びもむなしく濁流にのまれたナマリだったが、彼はふと目を覚ます。目のまえにいたのは、狐耳を生やした幻獣民の少女、シキ。
「助けが間に合わなくて申し訳ないっす……けど、あなたには素質がある気がするっす!」
シキはナマリに天鬼を操る力があるようだと言い、その気があるのなら帝都で天鬼を操る能力者、気象指揮官として学ぶことができると言った。
そんな力があるのならば村を、両親を助けられたのではないか。唇をかむナマリは、シキの言葉にうなずけない。
「ちなみに、気象指揮官の候補生は衣食住が保証されるっす」
「……だったら、行こう」
幼い弟妹を食わせていくため、ナマリは帝都に行くことを決めた。
「今は生き延びて、いつかこの村へ帰って来よう」
不可思議な力を持つなどと言われても信じられない彼の目標は、生活を安定させて弟妹を育てること。そして、いつかまた穏やかな村でのどかな暮らしを送ること。
ささやかな望みを胸に旅立った少年ナマリの行く先に、平穏はあるのか。
そんな日々が崩れたのは突然。
見たこともないほどの天鬼が空に集まり、生まれた暗雲が大量の雨を降らせ、濁流となって村を押し流してしまった。
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