【完結】冬の令嬢は春を知らない 〜孤独なお嬢様と年下のピアニスト〜

 寒い季節が嫌いなスタンフィールド公爵家の令嬢・メリル。
 幼い頃に交わした「春になったら迎えに行く」という初恋の約束を胸に、
 十六歳になった今も“結婚などしない”と独身主義を貫いていた。

 だがある夜、彼女の前に現れたのは、皮肉屋で生意気な年下の少年・フェリペ。
 音楽と自由を愛する彼との出会いが、凍てついていたメリルの心を少しずつ溶かしていく。

 過去の記憶、家族の束縛、そして新しい恋。
 ――愛とは誓いではなく、自ら選ぶもの。

 亡き初恋の“スミレ”の色を胸に、メリルは恐れながらも歩き出す。
 真冬の貴族社会を越えて、自分の春を見つけるために。
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