『影の覇道』
天正十年。京で本能寺の変が勃発し天下が大きく揺れる陰で、薩摩の地にひとりの男がいた。
男の名は、黒木狗朗。
かつて凄惨を極めた耳川の戦場を生き延びた彼は、脳裏にへばりついて離れない惨劇の記憶に心を病み、刀を抱いて暗い部屋に閉じこもっていた。
ある日、頭の中の狂気から逃れるように彷徨い出た裏山で、狗朗は古井戸の放つ怪しい光に呑み込まれる。
目を覚ました彼が降り立ったのは、薩摩でも京でもない、見たこともない異国の大地であった。
そこは、無数の王国や帝国が入り乱れ、戦乱の炎に包まれた泥沼の乱世。
群雄が覇を競う激戦のなか、狗朗の内に眠る野性と「闇の剣豪」としての狂気が覚醒する。
名乗りも上げず、陣形も持たず、ただ無言で暗闇から敵将の喉笛を断ち切る――。
正々堂々の騎士道や兵法を嘲笑うかのように、一人の「暗殺者」が仕掛ける凄惨な闇討ちと足軽戦術は、やがて異世界の勢力図を根底から揺るがしていく。
これは、愛も人望もない一匹狼の男が、弱小勢力を影から操り、血と恐怖によって異世界の乱世を平定していく「裏の覇道」の物語である。
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