『黄金の記憶 ー 金に魅せられた人類の物語』

それは、宇宙で最も重く、美しく、そして謎に満ちた金属。
人類は太古より、この黄金に心を奪われてきた。

太陽の光を宿す神の金として、
ファラオの墓に眠り、聖職者の冠に輝き、
征服者たちの血塗られた手の中で語られた黄金郷。
そして近代には、王冠から紙幣へ、神聖から信用へと姿を変え、
ついには数字の海で揺れる投機資産と化した。

この物語は、金という“物質”を通じて語られる、
人類の欲望と信仰と知性の進化史である。

やがて語りは天を超え、星の誕生と死へと至る。
――金とは何か?
それは宇宙の深淵で、中性子星の衝突により一瞬だけ生まれた“奇跡”。
数十億年の旅を経て地球に降り立ち、人の手で掘り起こされたその存在は、
いまもなお、我々の価値観の根幹に輝き続けている。

金に魅せられたのは人類だけではない。
それは、この宇宙の記憶そのものなのだ。
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