影の弁慶

衣川の地で主を守る弁慶がたどり着いた、残酷な「完成」とは……。

史実や通説の大枠を骨格としつつ、人物の情念を徹底的に掘り下げる物語。

五条の大橋で少年に打ち据えられた弁慶は、彼を主と仰ぎ身を差し出す。だが主は、孤独という名の欠落を抱えていた。主が求めるのは家来でも忠義でもなく、生身の「父」という幻影だった。

次々と生身の「父」の影を追い求める主を追いながら、弁慶は主の影となり、盾となり、やがて「守る」という言葉の意味を別の形に変えていく。

情念で読み解く、源義経と武蔵坊弁慶の静かなメリーバッドエンド。

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