天使の歌が聞こえる
「モモ」は彼女の呼び名、本当は百の香りで「百香」。僕らは同じ大学に通っているけれど、学部も歳も違う。彼女は三回生で、僕は今年の春に入学したばかり。出会いは、大学のサークル。泳ぐのが好きな僕は、当然水泳部に入るつもりだったけれど、部活の勧誘週間に運悪く高校の先輩に見つかり、陸上関係のサークルへ半ば強制的に拉致されたんだ。これを陸に上がったカッパって言うんだ。当然、陸上どころか走る事にすら興味のなかった僕が、練習についていけない日々が続いていた五月、新宿に向かう小田急の中で、ボロ布の様になって窓の外を眺めていた。
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