仮面の花嫁を選ぶ舞踏会
子爵家の娘リディアに渡されたのは、婚礼用の白い仮面だった。
後見人の伯父グレイヴ侯爵は、十三歳の弟ノエルの居場所を隠し、王家の舞踏会で名も知らない相手との婚姻簿に署名しろと迫る。弟からの手紙は、目の前で火に近づけられた。
「お前の希望を聞く場ではない」
逆らえば弟がどうなるか分からない。そう思って黙ってきたリディアに、王宮で出会った近衛隊長エドガーは告げる。
「花嫁が断るための場でもある」
その夜、伯父は弟を国外へ移す馬車を手配していた。最後の鐘が鳴るまでに、リディアは自分の名前で返事をしなければならない。
人質にされた弟を取り戻し、望まない結婚を断り、隣を歩く人を自分で選ぶまでの物語。
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