勇者が最後に選んだ聖女
王国中の剣士や冒険者が勇者の称号を争う、勇者選定大会。聖女エレナが任されたのは、闘技場の裏手で重傷者を受け入れる第二治療所だった。
華やかな第一治療所を仕切るのは、侯爵令嬢の聖女セレスティア。命の危うい患者のために駆けつけたエレナを、彼女は「恥をかかせた」と目の敵にする。
「なら、余計なことをしないで。第一治療所の責任者は私なの」
届かない回復薬、偽造された受領の署名、汚された布、中身をすり替えられた薬瓶。妨害が続く中、何度も怪我をしては治療所に顔を出すのが、優勝候補の冒険者カイル・レインだった。
「俺が勝っても負けても、試合が終わったら話をしてほしい」
決勝の日、治療所の不正は明るみに出て、新しい勇者が生まれる。
華やかな舞台の裏側で命を守り続けた聖女と、称号ではなく彼女自身を見ていた冒険者の物語。
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