花婿を雪の谷へ捨てた兄へ、私は迎えに行く道を知っています
結婚式の前夜、エステルは兄ベルトランから告げられた。花婿のレオンは、結婚が嫌になって逃げたのだと。
けれど差し出された別れの手紙は、レオンの字ではなかった。冬道組合の長となった兄は、北の交易路に金を出す家のギュスターヴとの縁談を押しつけ、母が遺した山小屋まで取り上げようとしている。
「私が誰と結婚するかを、兄上が決めるの?」
厩舎に戻されたレオンの馬、片方だけ残った手袋、林道に残る雪橇の跡。救護隊長のレオンは、閉ざされた救助門に抗議したせいで、雪の谷へ捨てられていた。
「花婿が谷底にいる結婚式なんて、できないわ!」
母と歩いた山道の記憶を頼りに、エステルは吹雪の夜へ踏み出す。花婿を迎えに行き、閉ざされた門を開けるために。
誰にも人生を決めさせず、愛する人と帰る道を自分の手で選び取る物語。
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