『ルール国のロミジュリ20XX』
「これは恋ではありません」
年に一度、防護ガラス越しに手のひらを合わせる。
それが、敵国の継嗣同士に許された唯一の接触だった。
ルール国が割れて、十二年。
「せねばならぬ」だけを課す義務の国ムストと、
「してはならぬ」だけを並べる禁止の国ネヴァ。
正しさの中身だけが違い、どちらも、従わない者を狩る。
禁止の国の継嗣ジュリエットと、義務の国の継嗣ロミオ。
二人はいとこで、彼には婚約者がいる。
近づくことも、私的に言葉を交わすことも許されない。
それでも二人は、花と木の暗号で通じ合い、
偽の恋人という隠れ蓑をかぶって、触れ合う。
——名前さえつけなければ、罪にはならない。
その嘘が守れなくなった夜のあと、二人は国を出る。
国境の向こうにあったのは、二つの国だけではなかった。
最初に辿り着いたのは、スポイル国。
外の国へ援助を送り、「誇り」として放送する一方で、
国内では食料も仕事も足りない人々が炊き出しに並ぶ。
「自分には関係ない」——そう思い込まされた国で、
二人は一人の女性と出会い、奪われた仲間を取り戻す。
禁じられた恋から始まった物語は、いま、旅の物語になる。
いつか故郷に戻り、割れた国をもう一度つくり直すために。
異世界ファンタジー/恋愛。第2章まで公開中。
※小説家になろう・カクヨムにも同一内容を掲載しています。
年に一度、防護ガラス越しに手のひらを合わせる。
それが、敵国の継嗣同士に許された唯一の接触だった。
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——名前さえつけなければ、罪にはならない。
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「自分には関係ない」——そう思い込まされた国で、
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